福島県から各地に避難した住民らが国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷は先に東電の上告を退けて賠償が確定しました。1日、愛媛県の原告側が記者会見し、野垣康之弁護士は「被害者全体の救済に向けて弾みとなる」と評価しました。
今後は1審・松山地裁判決(19年3月)と2審・高松高裁判決(21年9月)でともに認められた国の責任の有無が焦点となります。
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「救済に向け弾み」 原発避難者訴訟、東電の賠償確定で原告 愛媛
毎日新聞 2022年月日4月1日
2011年3月の東京電力福島第1原発事故に伴い、福島県から愛媛県に避難した住民ら22人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が東電の上告を退けて賠償が確定したことについて1日、原告側が愛媛県庁で記者会見した。野垣康之弁護士は「被害者全体の救済に向けて弾みとなる」と評価した。
確定した賠償額は総額4621万円。東電の賠償額は千葉、前橋、福島の各地裁で起こされた同種訴訟と同様、国の賠償基準を上回った。原告側は訴訟に加わらなかった愛媛の避難者にも同様の補償をするよう4月中にも東電に申し入れる方針だ。
今後は1審・松山地裁判決(19年3月)と2審・高松高裁判決(21年9月)でともに認められた国の責任の有無が焦点となる。小法廷は5月16日に国と住民側の双方から意見を聞く弁論を開くことも決めた。千葉、前橋、福島の訴訟の弁論も4月に開かれることになっており、夏前にも統一判断が示される見込みとなった。
四つの同種訴訟の2審判決のうち、前橋訴訟は国の賠償責任を否定している。愛媛の原告団代表の渡部寛志さん(43)は「(東電の上告が退けられ)ほっとしているが、国の責任の方が重い。認められなければ、心の行き場が失われる」と語った。【斉藤朋恵】
国の責任巡り上告審弁論へ
共同通信 2022/3/31
東京電力福島第1原発事故で福島県から愛媛県に避難した住民ら22人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は東電と住民側の上告をいずれも受理しない決定をした。3月30日付。二審高松高裁は国と東電に計約4620万円の支払いを命じており、東電への賠償命令が確定した。
一方、第2小法廷は国と住民双方の意見を聞く上告審弁論を5月16日に開くと決めた。福島、群馬、千葉の各地で起こされた同種訴訟で国の責任を巡り結論が分かれており、第2小法廷は4訴訟の弁論を経て今年夏にも統一判断を示す見通し