原発の再稼働が思うように進まない中で、経産省は次世代原子炉の実用化に向けた作業部会を設置しました。次世代炉をめぐる戦略が原子力産業の将来を左右するという考え方によるもので、次世代炉の特徴とされる安全性や熱利用、サプライチェーン(供給網)などの観点からも議論し、日本企業による次世代炉の参画を後押しにつなげたいということです。熱利用では高温ガス炉の試験炉の超高温を利用した水素の大量製造もテーマです。
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経産省が「次世代原子炉」戦略具体化に動き出す
ニュースィッチ(日刊工業新聞) 2022/4/25
経済産業省は次世代原子炉の実用化に向けた作業部会を設置した。炉型の技術開発に関連する評価軸や安全性、開発を進める上での制度上の課題などを検討する。欧米では小型モジュール原子炉(SMR)や高速炉などの開発計画が活発化し、日本企業が参画する動きも広がる。国内で原子力発電所の建て替えや新設が想定されておらず、次世代炉をめぐる戦略が原子力産業の将来を左右する。
国のエネルギー政策の方向性を示す「第6次エネルギー基本計画」を受けて、経産省は原子力のあり方をより明確にするための検討を進めている。次世代炉もテーマの一つだ。作業部会の議論を通じて次世代炉の開発に道筋を付ける。夏ごろの中間取りまとめを目指す。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を見据え、海外では原子力に回帰する動きが広がりつつある。米国では開発の時間軸などを考慮して、高速炉や高温ガス炉などを評価しているという。政府主導でこうした次世代炉の実用化をリードしたい思惑がある。
経産省は欧米の次世代炉開発の評価軸を踏まえ、作業部会で炉型開発にかかわる評価項目を検討する必要があるとみている。次世代炉の特徴である安全性や熱利用、サプライチェーン(供給網)などの観点からも議論する見込み。日本企業による次世代炉の参画の後押しにつながりそうだ。
カーボンニュートラルにより石炭火力発電への逆風が強まり、電力の安定供給の点でも原子力の必要性が高まっている。高温ガス炉の試験炉の超高温を利用した水素の大量製造に向けた実証も始まった。高い安全性を前提に次世代炉の方針を具体化することが期待される。