2022年4月24日日曜日

飯田哲也氏がやってみた「エネルギー自給自足」生活

 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、自宅で太陽光発電をして電気自動車(EV)に電力をため、毎月のエネルギーの9割近くを自給自足しています。
 太陽光発電は夜間や悪天候時には使えないので、好天時に発電した電気を自家用車のEV「日産リーフ」内臓の40kwhのリチウム蓄電池に貯えることで、夜間等も使えるようにした結果、月平均のエネルギー自給率が9割近くに達したとうことです。
 毎日新聞が報じました。
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飯田哲也氏がやってみた「エネルギー自給自足」生活
                             毎日新聞 2022/4/24
 自宅で太陽光発電をして電気自動車(EV)に電力をため、毎月のエネルギーの9割近くを自給自足している――。環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長がそんな生活をしていると聞き、横浜市内の自宅を訪ねた。4月以降、日本では燃料をはじめモノが値上がりしている。「ガソリンやガスなど燃料価格が高騰しても、影響はほぼゼロ」という生活は、一体どんなものか。【毎日新聞経済プレミア・川口雅浩】
 飯田さんは京都大学で原子核工学を専攻し、原子力プラントの設計に従事したが、「原子力ムラ」を批判して離脱。自ら研究所を立ち上げ、脱原発と再生可能エネルギーの普及を目指している。
 「本当は自給率100%を目指したいところですが、太陽光発電を始めた2020年度の6月は86%、7月は雨が多かったので67%、8月は87%でした。これは毎月の平均なので、日単位では100%を超える日もあります。でも雨が降ると自給率は下がります」
 飯田さんは20年4月に自宅を新築したのを機に、「理想とする再生可能エネルギー100%の自給生活にどこまで近づけるか、実験してみよう」と、必要な設備を整え、太陽光発電を始めた。
 その結果、日々の天候にもよるが、電力消費が年間のピークとなる夏場でも月平均でエネルギー自給率が9割近くに達した

◇「晴れた日に出かけられない」理由
 カギを握るのは屋根に置いた太陽光発電のパネルと自家用車のEV「日産リーフ」だ。昼間、太陽光で発電した電力が余れば、リーフのリチウムイオン電池に蓄電する。そして、夜間はリーフから自宅に給電して利用する。
 「太陽光発電の出力は10キロワットですが、屋根の多くが北向きのため実質的な発電は6キロワットくらいです。北向きでも、それなりに発電します」
 日産リーフは3年前に購入。リチウムイオン電池の容量が40キロワット時の標準仕様で、自宅に駐車している時は蓄電池として使っている。
 「晴れた日は太陽光がたくさん発電するので、自宅で使いきれない分をリーフに蓄電します。どんどん発電するので、リーフで出かけたくても充電を優先したくなり、出かけられなくて困ります」と、飯田さんは苦笑する。
 昼間、リーフに蓄電した電力は夜間に自宅で使うが、リーフの電池がカラになると翌朝、出かけられなくならないか。その疑問をぶつけると、飯田さんは「リーフから自宅への給電量を10~90%の幅で調整できるので、朝出かけるのなら50~60%の電力を残しておきます」という。

◇電力会社の「オール電化」とは違う
 雨の日など、太陽光の発電が少ない日は電力会社から電力を購入する。逆に晴天でリーフが満蓄電となった場合、余った電力は環境保護に貢献する新電力に売っている。
 自宅は高気密、高断熱の専用設計で、換気を組み込んだエアコンが冷暖房を行う。給湯は電気温水器、調理はIH(電磁誘導加熱)コンロで、言わば「オール電化住宅」だ。このためガス会社とは契約していない。
 「ただし、かつて東京電力が原発と石炭火力の電力を売るために宣伝していたオール電化とは違います。太陽光発電の多い春から秋は、冷暖房やクルマを含め、ほぼエネルギーを自給できます。ガソリン代とガス代はゼロです。ガソリンが高くなっても関係ないのは助かります」