原子力規制委は15日、福島第1原発でたまり続ける処理水を海へ放出する設備の設計や手順をまとめた「実施計画」に関する審査会合を開き、東電の説明に対して規制委側から大きな異論は出ず、計画はおおむね了承されました。今後、規制委事務局の原子力規制庁が審査書案を作成し、規制委に認可を諮ります。
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福島第1原発 処理水海洋放出の審査おおむね終了
毎日新聞 2022/4/15
原子力規制委員会は15日、東京電力福島第1原発でたまり続ける処理水を海へ放出する設備の設計や手順をまとめた「実施計画」に関する審査会合を開き、主要な議論を終えた。東電の説明に対して規制委側から大きな異論は出ず、計画はおおむね了承された。今後、規制委事務局の原子力規制庁が審査書案を作成し、規制委に認可を諮る。
海へ放出する処理水は、原発で生じる汚染水から、技術的に取り除くのが難しいトリチウム以外の63種類の放射性物質を除去して、濃度を国の基準値未満に下げた水。放射性物質は多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などを用いて除去する。実施計画によると、処理水は放出前に大量の海水で薄め、トリチウム濃度が国の定める基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満となるよう調整する。これを、新たに建設する海底トンネルを通して沖合約1キロの海底に放出する。
処理水はこれまで、1000基以上のタンクに入れて敷地内に保管していたが、現在も1日約150トン(ドラム缶750本相当)のペースで増えており、2023年春にはタンクが満杯になる見通し。政府が21年4月に海洋放出の方針を決定した。
東電は、認可が下りれば、今年6月にも関連施設の建設を本格的に始める。23年4月中旬ごろに完成させ、その後速やかに処理水放出を始める予定だ。海洋放出を巡っては、国際原子力機関(IAEA)も安全性の検証を進めている。【吉田卓矢、土谷純一】