2022年4月4日月曜日

太陽光、バイオマス ・・・ 電力も地産地消へ 那須塩原市

 栃木県那須塩原市は4月下旬、市や事業者などからなる新電力会社を設立し、太陽光やバイオマス(生物由来資源)など再生可能エネルギーで発電した電気の小売りに乗り出し、50年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
太陽光、バイオマス、小水力…電力も地産地消の時代に 栃木・那須塩原市が小売り事業
                           日本農業新聞 2022/4/2
 ウクライナ情勢を背景に、エネルギーや食料を自国で賄う必要性が高まっている。栃木県那須塩原市は4月下旬、太陽光やバイオマス(生物由来資源)など再生可能エネルギーで発電した電気の小売りに乗り出す。市内の一般家庭や民間事業者にも供給する予定。地域資源を活用した電力の“地産地消”を目指す。「循環型地域」を打ち出し、企業や移住者の呼び込みを狙う。(柳沼志帆)
 日本のエネルギー自給率は12%(2018年)。86%を石油・石炭などの化石燃料に頼る。再エネに詳しい富山国際大学の上坂博亨教授は「再エネには国内電力供給量の2・5倍もの可能性がある。エネルギー自給率を高めることは可能だ」と指摘する。デンマークは、風力中心に再エネ化を進め、2%だったエネルギー自給率を120%にまで引き上げた

 同市は20年、気候変動適応センターを開設。電力源となる地域資源や安全性、事業性などの評価を進めてきた。4月下旬、市や事業者などからなる新電力会社を設立予定だ。50年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指す
 背景の一つに、農業での環境対策がある。同市は本州一の生乳生産量を誇るが、乳牛のふん尿の活用などで課題を抱える。増える遊休農地への対応も急務だ。電気代として年間177億円が市から流出している。それを市内で循環させるため、新電力への置き換えを進めたい考えだ。
 新電力会社の検討を進めてきた協議会会長の鈴木大介さん(43)は、「那須の資源を活用して、持続可能な地域をつくりたい」と話す。
 市民への啓発も進める。間伐予定の木の皮を剥ぎ取る作業の体験で、電力となる地域資源や電気になるまでの流れなどを伝える。
 今年中に、食品残さを活用する既存の設備を使って発電した再エネの小売りを始める。市の施設から供給を始め、25年に一般家庭や事業者などに届ける予定。小水力、太陽光、家畜ふん尿などを利用した電源開発も進める考えだ。

ことば> 新電力会社

 2016年4月の電力の小売り全面自由化以降に新規参入した電力会社。従来、大手電力会社しか電気の販売はできなかった。資源エネルギー庁によると、3月末時点で約750事業者が登録されている。