柏崎刈羽原発では核物質防護管理にあたる職員が別の仕事も兼務していて、核防護業務の比率が5分の1程度と低かったということで、これは柏崎刈羽原発固有の問題と判断されました。
更田規制委員長は、「人に依存する部分が非常に大きかった。実際上は置かれている枢要の人の違いというものが、結果として影響を与えていた」と指摘しましたが、当人たちの問題とするのは間違いで、そういう状況に追い込んだ会社の人員配置に問題の本質があります。
柏崎市の桜井市長は、「柏崎刈羽原発に固有の問題であるという指摘は重く、ある意味ショックであった。なぜこのような問題が生じるのか、掘り下げ、分析してもらいたい」とコメントしました。
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「柏崎刈羽原発固有の問題」指摘に地元市長は「重く、ある意味ショック」
BSN新潟放送 2022/4/27
新潟県にある柏崎刈羽原発で、テロ対策など核セキュリティー上の不備が相次いだ問題を受け27日、原子力規制委員会が行っている追加検査の中間報告がまとまりました。不備については、東電の全社的問題ではなく「柏崎刈羽原発固有の問題」だと指摘しました。
中間報告は検査を行っている原子力規制庁がとりまとめ、27日の原子力規制委員会で了承されました。柏崎刈羽原発で起きた『IDカードの不正使用』と、『不正な侵入を検知する設備の故障など』の核セキュリティーをめぐる2つの問題について検査した結果…
【原子力規制庁の担当者】:「今回の2つの事案の発生については、他電力(会社)に共通する問題や東京電力の全社的な問題ではないと思います。つまり、柏崎刈羽原発に固有の問題であると判断しました」
例えば、防護設備について、他の発電所は地理的な特徴や気候を考慮した設備を設置しているのに、柏崎刈羽原発では考慮していませんでした。そのため、不要な警報が多かったということです。
また、柏崎刈羽原発では核物質防護管理にあたる職員が別の仕事も兼務していて、核防護業務の比率が5分の1程度と低かったということです。
他にも、監視方法や防護設備の保全などの面でも、他の発電所と比べ不十分だったり、甘い部分があったりしたと判断されました。さらに、設備の故障については、福島第1原発の事故の後に取り組んできたコスト削減の動きとも関連がみられるとしました。
原子力規制委員会の更田豊志委員長は、他の発電所と柏崎刈羽原発の間では「違いが際立っていた」と指摘しました。そして、何がこの違いを生んだかということついては…。
【原子力規制委員会 更田豊志委員長】:「人に依存する部分が非常に大きかった。特定の個人の違いによって発電所の防護が大きく変わってしまうということはあってはならないが、実際上は置かれている枢要の人の違いというものが、結果として影響を与えていた」
核物質の防護はセキュリティー上、特に重要なものであるという性質から、限られた人のみが管理に当たっていることが不備につながる落とし穴になったのではと指摘しました。
原子力規制委は今後、保守管理体制の整備・強化や、核物質防護業務の抜本的な見直しなど8つの点を重点的に確認するとしています。
数々の不備が『柏崎刈羽固有の問題』だと指摘されたことについて、原発の稲垣武之所長は
【柏崎刈羽原発 稲垣武之所長】:「(去年、東電の報告書には)柏崎刈羽の防護部門については、福島第一・第二(原発)と比較しても、他部門、中の風通しが悪いと。こういったことにより、やはり発電所他部門との関係もかなり希薄なものになっていた。これについては私としても完全に把握・認識しきれないところがございます。今後も対話などを通じて今までどうだったかというところは、しっかり私として理解をし、必要な対策を取りたい」
一方、柏崎市の桜井雅浩市長は、中間報告について「柏崎刈羽原発に固有の問題であるという指摘は重く、ある意味ショックであった。なぜこのような問題が生じるのか、掘り下げ、分析してもらいたい」とコメントしています。