2022年4月15日金曜日

日本の原発が攻撃されたら死者37万人 衝撃シミュレーション(週刊女性)

 日本の原子力新規制基準は原発への他国などからの武力攻撃は想定しておらず、想定しようという動きもありません。
    ⇒(3月10日)日本の原発は戦争を「想定していない」更田委員長
 実は外務省は1981年にイスラエルがイラクの研究用原子炉施設を爆撃したのを契機に、「想定される原発への攻撃や被害予測の研究」を財団法人日本国際問題研究所に委託し、格納容器が爆撃あるいは砲撃された場合、攻撃された原発を100万kwクラスと想定すると、緊急避難しなければ最大1万8000人が急性被ばくで死亡し、住めなくなる地域は最大で87キロ圏内と予測し、格納容器だけではなく原子炉自体が破壊された場合には〈さらに過酷な事態になる恐れは大きい〉とする報告が出されていましたが、国民には公表されませんでした。
  ⇒(3月13日)周辺住民1万8千人が急性死亡! 原発攻撃時の被害想定報告書を隠蔽
    18.3.20) 原発テロ被害 政府が極秘研究していた「最大1万8千人急死」予測も

 週刊女性が『環境経済研究所』所長の上岡直見氏に、日本で原発が攻撃されたらどんな被害になるのかを聞いたところ、
 原子炉を覆う格納容器が破損したケースでは、「柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)が攻撃された場合、新潟県の一部が立ち入り禁止となり、群馬県、埼玉県、長野県、東京都まで強制移住地域となる」、また東海第二原発(茨城県東海村)の場合で、茨城の一部は立ち入り禁止に。東京都をはじめ埼玉県、神奈川県、群馬県など関東一円は強制移住地域になる」ということで、武力攻撃で被害を受ける地域は300キロをゆうに超えるということでした。
 そして首都圏では1000万人単位の避難になるので、まず動けずに退避に数か月はかかるのではないかということでした。
 東海第二原発が攻撃を受け格納容器の破損に至ると、長い潜伏期間を経てがんで亡くなるケースも含めて、死者数の推計は約37万人に及び、柏崎刈羽原発で同様の事態が起きた場合、死者数は約6万人と試算されました。
 週刊女性PRIMEの記事を紹介します。
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ウクライナは他人事じゃない!「日本の原発が攻撃されたら」死者37万人の衝撃シミュレーション
                         週刊女性PRIME 2022年4月14日
 ロシアがウクライナの原発を次々と攻撃したことで、世界中に衝撃が広がっている。ロシアによる侵攻が始まってすぐの2月24日、1986年に大事故を起こしたチョルノービリ(チェルノブイリ)原発が制圧され、3月4日にはヨーロッパ最大のサポリージャ原発が占拠された。稼働中の原発への攻撃は史上初。戦時下で原発が標的にされる危険性が浮き彫りになった。
 こうしたリスクは全国に59基の原発がひしめく日本も無関係ではない。その実態を「日本の原子力防災は“焼夷弾にバケツリレー”の状態です」と話し、警鐘を鳴らすのは『環境経済研究所』所長の上岡直見さんだ。

 日本で原発が攻撃されたら、どんな被害になるのか。上岡さんは、攻撃によるダメージの収束ができず、原子炉を覆う格納容器が破損した場合のシミュレーションを実施。その結果を放射能汚染地域の区分を表した『チェルノブイリ基準』(立ち入り禁止・強制移住・避難権利)に当てはめ、解説してくれた。

国民が自分で危険を知ることができない状況
 シミュレーションによると、東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)が攻撃された場合、新潟県の一部が立ち入り禁止となり、群馬県、埼玉県、長野県、東京都まで強制移住地域となる。また、日本原子力発電・東海第二原発(茨城県東海村)の場合でも、茨城の一部は立ち入り禁止に。東京都をはじめ埼玉県、神奈川県、群馬県など関東一円は強制移住地域になる。
 原発事故の避難計画は原発から30キロ圏内しか作られていないが、武力攻撃で被害を受ける地域は300キロをゆうに超える
 はたして住民は逃げられるのか。新潟県の原発避難に特化した委員会に所属する上岡さんは、その点も熟知している。
「首都圏では1000万人単位の避難になりますから、まず動けないでしょう」
 公共交通機関の混乱、車の渋滞などで動けなくなるのは必至。退避に数か月はかかるのではないかと上岡さんは言う。こうした避難計画のずさんさは以前から懸念されている。2021年3月の東海第二原発差し止め訴訟の水戸地裁判決では、避難計画に実効性がないことが指摘され、運転が差し止められた。
 避難に時間がかかり、滞在時間が長くなると必然的に人々の被ばく量は増える。つまり当然、命のリスクがある。東海第二原発が攻撃を受け格納容器の破損に至ると、長い潜伏期間を経てがんで亡くなるケースも含めて、死者数の推計は約37万人に及ぶ。また、柏崎刈羽原発で同様の事態が起きた場合、死者数は約6万人と試算している。

 甚大な被害をもたらす可能性があるにもかかわらず、
「原子力規制庁が行う原発の安全審査で、戦争の武力攻撃は対象とされず、議論もされていません。原発への武装攻撃や大事故の際の被害予測は、外務省や旧科学技術庁で行われていたにもかかわらず、公表されなかった。国民が自分で危険を知り、判断することができない状況にあります」
 原発が武力攻撃の標的にされた場合、「原発周辺の補助設備が破壊される危険があります」と上岡さん。ミサイルで原発の本体を1度に破壊することは難しい。だが、電源などを攻撃し、福島第一原発と同様の事故を引き起こすおそれが考えられるという。
「原発では通常、起きたトラブルを点検・補修して大事故を防いでいます。しかし、外国の武装勢力に占有されていたら補修ができません。(電源喪失後に)非常用発電機が動いていても、燃料補給すらできない可能性があります。職員の交代もできません」

物議を呼ぶ「核シェアリング」
 実際、ロシア軍に一時占拠されたチョルノービリ原発では、作業員が3週間交代できないまま管理を続けた。問題はまだある。
「原発よりも、発電に使用した核燃料を貯蔵する使用済み燃料プールのほうが脆弱です。冷却できなくなると、大惨事になります。現に福島第一原発事故の際、4号機の燃料プールの水が蒸発してなくなり、核燃料が損傷し、大量の放射性物質が放出されるおそれがありました。首都圏までもが避難をしなくてはならない『最悪のシナリオ』が想定されていたほどです」
 菅直人総理(当時)から依頼を受け、原子力委員会の近藤駿介委員長らが作成した『最悪のシナリオ』では、福島第一原発から半径250キロまで汚染が広がると分析していた。北は盛岡、南は房総半島の中腹、新潟の佐渡も含まれ、首都圏もすっぽり収まる。シナリオどおりにならなかったのは偶然でしかない。
 一方、ロシア軍の制圧が続くウクライナのサポリージャ原発では、戦車や歩兵部隊の携行兵器による至近距離からの破壊・損傷を受けた。