2022年4月12日火曜日

水素の効率的な搬送目指し実証開始 浪江町で大林組

 「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)で製造され水素は、再生エネ発電を利用しているので製造過程でも炭酸ガスを出さず、窮極の「脱炭素」と言えます。

 建設業の大林組は10日、福島県浪江町にある世界最大級の水素製造実証拠点(FH2R製造された水素を町内に効率よく運ぶシステムの実証実験を始めました。
 町と連携し、搬送先の水素残量や需要量、搬送量などを人工知能AIが遠隔で監視して1週間先までの需要予測を立てて搬送量などを自動で判断するというものです。
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水素の効率的な搬送目指し実証開始 福島県浪江町で大林組 CO2排出削減へ
                              福島民報 2022/04/11
 建設業の大林組は10日、福島県浪江町にある世界最大級の水素製造実証拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)で製造された水素を町内に効率よく運ぶシステムの実証実験を始めた。町と連携し、搬送先の水素残量や需要量、搬送量などを遠隔で監視して最適な搬送計画を立て、エネルギー消費を抑えて二酸化炭素(CO2)排出量削減につなげる。
 同社によると、水素の搬送状況などを遠隔管理しながら運ぶ検証は国内で初めて。世界的にも珍しいという。実証は同社が環境省から事業委託を受けて来年3月末まで実施する。FH2Rで製造された水素をトレーラーやカードル(ボンベの束)に移し、水素燃料電池がある福島いこいの村なみえ、6月供用開始予定のふれあいセンターなみえ、復興事業現場事務所、簡易水素ステーションを設置している町役場の計4カ所にトラックで運ぶ。
 この場所は使用電力の一部を水素で賄っている。遠隔での監視には人工知能(AI)が搭載された搬送管理システムを役場内に設置。水素や電力の需要量、搬送状況などから1週間先までの需要予測を立てて搬送量などを自動で判断する。
 大林組は最適な搬送計画によってCO2排出量を少なくとも約2割削減できると試算する。システムを町内外に拡大し水素供給に関するネットワークの構築を目指す。

 記念式典が10日、町内で開かれた第3回なみえ水素まつりで行われた。大林組の森田康夫執行役員東北支店長があいさつし、森田支店長、環境省福島地方事務所の庄子真憲次長、吉田数博町長がテープカットした。
 なみえ水素まつりでは、水素エネルギーの普及に向けて活動するロックバンド「LUNA SEA」「X JAPAN」のギタリストSUGIZOさんがシンポジウムに登壇し、水素の積極利用を提言した。
 SUGIZOさんは環境保全のため、水素燃料電池を利用したライブを展開している。水素は燃料電池車(FCV)を用いて災害時には電力供給できるなど活用の方法を紹介し、「あらゆる活用策があると知ってもらい、水素の利用が広まってほしい」と期待した。
 「水素タウン」の実現を目指す浪江町については「素晴らしい取り組みで世界をリードしている」と評価。今後は公共交通や運送業の車両を水素燃料で走らせる仕組みを作ってほしいと求めた。