2022年6月11日土曜日

11- イランがウラン濃縮拡大、27台の監視カメラ撤去へ IAEAは警告

 国際原子力機関(IAEA)理事会は8日、ウラン濃縮をさらに拡大しているイランに対する非難決議を賛成多数で採択しました。一方、イランはIAEAの監視カメラ27台を停止すると発表し、9日にその撤去に着手しましIAEAは、イラン核合意の再建にとって「致命的な打撃」になると警告しました
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イランがウラン濃縮拡大、監視カメラ停止 IAEAは非難決議採択
                             ロイター 2022/6/9
[ウィーン/ドバイ 8日 ロイター] 国際原子力機関(IAEA)理事会は8日、イランに対する非難決議を賛成多数で採択した。一方、イランは地下核施設でのウラン濃縮をさらに拡大しており、IAEAの監視カメラ2台を停止すると発表した。
決議案は米国、ドイツ、フランス、英国が提出。イランの未申告施設でウランの痕跡が検知された問題を巡り、同国が完全な回答をしていないことに深い懸念を示した。35カ国で構成する理事会で決議に反対したのは、ロシアと中国のみだった。
イランはこれより先、ウラン濃縮度測定装置を撮影するカメラの停止を発表。国営テレビは「イランの協力にIAEAは感謝しないばかりか義務だと考えている。きょうから関連当局が監視カメラの停止を命じた」と伝えた。
ただ、IAEAはこれらのカメラが記録したデータに1年以上アクセスできておらず、イラン側が保管しているデータを将来的に入手したい考えだ。
一方、IAEAは加盟国へのリポートで、イランがナタンズの地下核施設で複数の高性能遠心分離機「IR6型」からなる「カスケード」を設置し始めたと報告した。同様のカスケードをさらに2つ設置する方針も通知してきたという。
2015年核合意では、イランがナタンズで使用できるのは「IR1型」に限られている。


イラン、カメラ27台撤去へ 核合意再建に「致命的」 IAEA
                             時事通信 2022/6/9
【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は9日にウィーンで記者会見し、IAEAがイランの核施設に設置した監視カメラのうち27台を撤去するとイランが通告してきたと明らかにした
 米欧主導で、IAEA理事会がイランを非難する決議を採択したことに同国が対抗措置を取った。
 これらのカメラは、イラン核合意が定めるウラン濃縮活動の制限が順守されているか確認するため、中部ナタンズの核施設などに設置された。核拡散防止条約(NPT)の下での査察などを定めた「包括的保障措置協定」に基づき設置されたカメラ約40台は、引き続き稼働するという。
 イランは主要国と核合意の再建交渉を行ってきたが、グロッシ氏は、3~4週間で解決策が見つからなければ、核合意への「致命的な打撃」になると語った。グロッシ氏は6日、イランにある濃縮ウランが、核兵器への使用も排除できない水準を示す「有意量」に達するまであと数週間だとの認識を示していた。


イラン、IAEA非難決議に反発…監視カメラ撤去を決定 IAEA「致命的な打撃」と警告
                          日テレNEWS 2022/6/10
イランは9日、IAEA(=国際原子力機関)の理事会で採択された非難決議に反発し、IAEAが核関連施設に設置していた27台の監視カメラの撤去を決めました。IAEAは、イラン核合意の再建にとって「致命的な打撃」になると警告しています
8日、賛成多数で採択されたイランの非難決議は、「IAEAへの実質的な協力が足りない」と理事会が「深刻な懸念」を示したものでしたが、これに反発したイランは、ウランを濃縮する遠心分離機の製造工場や、ウラン原石の採掘や加工を監視するためIAEAが設置していたカメラ27台を取り外すと発表しました。
IAEAによりますと、9日、すでに取り外し作業が始まったということです。
IAEAは去年2月以来、これらのカメラにアクセスできなくなっていましたが、核合意が再建されればカメラの保存データがIAEAに引き渡されることになっていました。
しかし、監視カメラが撤去されれば核活動をさかのぼって検証することが困難になるため、IAEAのグロッシ事務局長は、今後3~4週間以内にイランが再考しなければ、核合意の再建をする上で「致命的な打撃を与えるだろう」と警告しました。
一方、イランのライシ大統領は9日の演説で、「我々の立場から一歩も引くことはない」と強硬な姿勢を示しています。
イランの濃縮ウランの保有量が数週間以内に核爆弾を1つつくれる水準に達するとされる中、核合意再建に向けては一層、不透明な情勢になっています