「原発事故の責任は国にある」として、4つの訴訟で福島県の住民らがおよそ3800人が国に賠償を求めた裁判の最高裁判決が今日、一括して言い渡されます。
国の権限で東京電力に対策をとらせていれば原発事故を防げたかどうかが争点となっていて、高裁判決では判断が分かれ、3件では「国の責任」を認めたものの1件では認めず、最高裁で争われてきました。
今回の最高裁判決は、他の同様の30件の訴訟のほか、今後の原子力政策にも影響を与えることになります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「原発事故の責任は国にもある」福島県の住民らが訴えた4訴訟きょう最高裁判決
TBS ニュースJNN 2022/6/17
「原発事故の責任は国にある」として、福島県の住民らが国に賠償を求めた裁判の最高裁判決がきょう、言い渡されます。
「原発事故によって生活が損なわれた」と訴える福島県の住民らと、県外への避難を余儀なくされた住民らおよそ3800人は、「事故の責任は国にある」としてあわせて4つの訴訟で賠償を求めています。
国の権限で東京電力に対策をとらせていれば原発事故を防げたかどうかが争点となっていて、高裁判決では判断が分かれ、3件では「国の責任」を認めたものの1件では認めず、最高裁で争われてきました。
最高裁はきょう、この4つの訴訟で、原発事故をめぐる国の責任について初めて判断を示します。同様の訴訟は、他にも30件あり、およそ1万人が「国の責任」を訴えて賠償を求めていて、今回の最高裁判決は、他の同様の訴訟のほか、今後の原子力政策にも影響を与えることになります。
【解説】初めて示される原発事故の国の責任 判決の影響は?
テレビユー福島 2022/6/16
原発事故の集団訴訟をめぐり、17日最高裁が初めて国の責任について判断を示します。これまでの「国の責任」というものが、どういうものかといいますと、例えば、福島復興再生特別措置法の条文を見てみます。
第一条に「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う、国の社会的な責任を踏まえて」とあります。
これは“原発事故そのものの責任ではなく、これまで国策として原発を進めてきたので、私たちにも責任がある”と、いわば間接的なものととらえられるような条文になっています。
今回、判断されるのは、原発事故で規制権限を行使していれば、事故は防げたかどうかという、具体的な責任が判断されることになります。
ではこれまでどういった点が、争われてきたのかといいますと、大津波を予見できたかどうか、その根拠となる「長期評価」の信頼性が、主な争点となってきました。この「長期評価」については、群馬の訴訟では、東京高裁が信頼性を否定し、他の生業、千葉、愛媛の訴訟では、認定されています。
特に生業訴訟の仙台高裁判決では、国の対応について「東電の不誠実ともいえる報告を唯々諾々と受け入れることとなったものであり、規制当局に期待される役割を果たさなかった」と、断じています。
国の責任が認められた場合、今後どういう影響が出てくるのか。考えられるケースをいくつか挙げたいと思います。
責任が認められた場合、国が原発事故の当事者となるわけですから、除染や被災者支援といった復興に必要な取り組みが、より具体的な義務を負うようになると話しています。
また、賠償については、すでに東電の責任は確定していますが、国に責任があるとなれば、東電とともに、賠償金を支払うことになります。
さらに、国に責任があるかないかについては、全国でいまも続いている30件ほどの集団訴訟に影響を与えるのは必至で、来年1月に判決が予定されている旧経営陣の刑事裁判にも一定の影響があるものと指摘されています。