廃炉中の原子力機構の新型転換炉「ふげん」の使用済み核燃料について、政府と原子力機構はフランスで再処理する方針を固め、日仏政府が15日に書簡を交わしました。書簡では、23~26年度に仏へ使用済み核燃料を輸送し、24~28年度に仏で再処理をする ▽41年度までに高レベル放射性廃棄物を日本へ返還する ▽取り出したプルトニウムなどは仏側に譲渡し民生用原子炉の核燃料に使うことを決めました
プルトニウムに特化した記事は20日付で紹介しましたが、それも含めた詳報として改めて紹介します。
関係記事
(6月20日)プルトニウムはフランスに譲渡へ ふげん燃料で政府方針
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「ふげん」の使用済み核燃料、フランスで再処理へ 両政府が書簡
毎日新聞 2022/6/20
廃炉中の日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」(福井県)の使用済み核燃料について、政府と原子力機構はフランスで再処理する方針を固めた。日仏政府が15日に書簡を交わした。
原子力機構は近く、仏企業との間で正式に再処理に関する契約を結ぶ。政府関係者などによると、再処理で取り出したプルトニウムを仏側に譲渡し、高レベル放射性廃棄物は日本が引き取る内容となりそうだ。
書簡では、2023~26年度に仏へ使用済み核燃料を輸送し、24~28年度に仏で再処理をする ▽41年度までに高レベル放射性廃棄物を日本へ返還する ▽取り出したプルトニウムなどは民生用原子炉の核燃料に使う――ことを決めた。
03年に運転を停止したふげんの使用済み核燃料は原子力機構の東海再処理施設(茨城県)で再処理する予定だったが、14年に再処理施設の廃止が決まり、国内で再処理できなくなった。使用済み核燃料731体のうち8割弱がプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料で、ふげんと再処理施設で保管している。原子力機構は26年度までに使用済み核燃料を搬出するとしている。
原子力機構は18年、ふげんの再処理の準備に向け、輸送容器の設計・製造などに関する契約を133億円で仏企業と結んでいた。20年11月には河野太郎行政改革担当相(当時)がふげんのプルトニウムについて「最終的にはいくらかお金をつけて引き取ってもらうという選択肢しか現実的にはない」などと発言していた。【吉田卓矢、土谷純一】
「ふげん」核燃料取り出し後のプルトニウム、フランス譲渡へ…日仏で合意
読売新聞 2022/6/20
廃炉作業中の新型転換炉「ふげん」(福井県敦賀市)の使用済み核燃料をフランスで再処理し、取り出したプルトニウムをフランスに譲渡することが20日わかった。ふげんを管理する日本原子力研究開発機構とフランス企業が近く、正式に契約を結ぶ。
日仏政府間で使用済み核燃料の輸送や再処理などに関し合意した。同機構などは使用済み核燃料について、2023年度から搬出を開始し、26年度までに搬出を完了させる計画だ。プルトニウムはフランスで民生用の燃料などとして使われる見込みだという。
プルトニウムは核兵器の原料に転用できる。内閣府原子力委員会は18年に策定した基本的な考え方の中で、利用目的のないプルトニウムを持たず、海外に保管されているプルトニウムの削減に取り組むと明記している。日本は国内商用炉で出た使用済み核燃料を英仏に運び、再処理や燃料製造を委託している。20年末時点で海外で保管しているプルトニウムは計約37・2トン。このうち約15・4トンがフランスにある。