欧州トップシェアの小型風力発電機を手がけるSDグリーンエナジー(東京)が25年春、岩沼市に国内初の生産開発拠点を開設することが分かりました。約30人の雇用を見込みます。同社は15年創業で、出力20キロワット以下の小型風力発電機を製造する英国の企業から18年に事業を継承しました。
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小型風力発電機、宮城・岩沼に生産開発拠点 SDグリーンエナジー
河北新報 2022年6月25日
欧州トップシェアの小型風力発電機を手がけるSDグリーンエナジー(東京)が2025年春、岩沼市に国内初の生産開発拠点を開設することが分かった。年約1200基の生産目標を掲げ、アジア諸国などへの供給体制を整える。総事業費は約21億円。再生可能エネルギー産業の新たな拠点になりそうだ。
同社は15年創業。出力20キロワット以下の小型風力発電機を製造する英国スコットランドの企業から18年に事業継承した。英国などの認証を取得して欧州を中心に7000機以上が稼働し、南極でも10年以上稼働する高い耐久性と稼働率を誇る。
スコットランドでの生産能力は年約500基。アジアの需要に対応するため2カ所目となる工場を、宮城県土地開発公社が分譲する仙台空港フロンティアパーク(岩沼市)の約1・1ヘクタールに設ける。
工場は鉄骨2階延べ約2900平方メートルで、小型風力発電機と蓄電池、小型電動航空機を製造開発する。国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用する。来年1月にも着工し、25年春に操業予定。約30人の雇用を見込む。
既に現地子会社SDMATRIXを設け、現在は名取市内の施設で輸入部品を組み立てている。マイクログリッド(小規模発電網)システム用の小型風力発電機が5月、南極昭和基地向けに初出荷を果たした。
同社の小型風力発電機は発電開始時に電源を必要とせず、弾力性のある3枚のブレード(羽根)で風速70メートルでも安定稼働できる。羽根は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製。1基で約3世帯分の電力を賄えるという。
漆谷敏郎社長は「宮城県を介して良い土地が見つかった。新工場稼働後3年をめどに部品の国内生産を目指し、小型風力発電機とマイクログリッドシステムをアジア太平洋地域に売り込みたい」と話す。