泊原発の運転差し止め訴訟では、科学的知見や資料を持っている筈の北電の立証乃至回答がはかばかしくなく、審理が大幅に遅れました。
規制委の再稼働審査でも同じようなことが起きていて、関西、四国、九州の電力3社と共に審査に入ってから9年になりますが、この間他社は全て審査を終了しているのに、北電の泊原発だけはいまだ先行きが見通せず、規制委側が論点を整理して提示する「手取り足取りの対応」(規制委の更田豊志委員長)をせざるを得ない異例の事態となっています。
時事通信が報じました。
札幌地裁が31日に泊原発の運転差し止めの判決を出したことに対して、原子力規制委の 更田委員長は、「審査に対する影響ですけども、審査は審査で私達の責任をしっかりと果たすべく進められるものであって、今回の訴訟、並びに判決の影響を受けるものではありません」と述べました。TBSが報じました。
2つの記事を紹介します。
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審査9年、先行き見えず 新規制「初日申請組」で唯一 地震想定など対応不手際・泊原発
時事通信 2022/6/1
北海道電力は2013年7月、東京電力福島第1原発事故を受けて策定された新規制基準施行初日に関西、四国、九州の電力3社と共に泊原発1~3号機の審査を原子力規制委員会に申請。
「初日申請組」の5原発10基のうち、審査が終わらず、再稼働にも至っていないのは泊原発だけだ。
北海道電は3号機の審査対応を優先させているが、地震や津波、火山噴火対策などの論点で同社の対応の不手際が露呈。あまりの長期化に、今年3月、規制委側が論点を整理して提示する「手取り足取りの対応」(規制委の更田豊志委員長)をせざるを得ない異例の事態となっている。
審査は最初からつまずいた。規制委は13年7月、北海道電が3号機の解析結果を、原子炉の構造が異なる1、2号機にも流用していたと指摘。津波を引き起こす海底活断層の想定も「仮説に基づいており、十分な説明がない」と苦言を呈した。
17年11月には、これまで敷地内に活断層がないことの根拠としてきた火山灰層が、建屋建設時などに失われていたことが判明。議論は振り出しに戻り、昨年7月、別の証拠でようやく「活断層ではない」と認められた。
背景には、同社の人材不足がある。更田委員長は「(関西電や九州電のように)複数の原発を抱えている電力会社に比べ、北海道電はどうしても地震や断層、火山の専門家を抱えるのは難しい」と指摘。今年4月、経営陣らに対し人材確保を改めて促した。
泊原発の運転差し止め判決に原子力規制委員長「審査は影響受けない」
TBS NEWS(JNN) 2022/6/1
札幌地裁が北海道電力・泊原発の運転差し止めを命じたことについて、原子力規制委員会は「審査は影響を受けない」との認識を示しました。
周辺住民らが、北海道電力・泊原発の廃炉や運転差し止めを求めた住民訴訟の判決で、札幌地裁はきのう、津波への安全対策の不十分さを理由に初めて1、2、3号機の運転差し止めを命じました。
原子力規制委員会 更田豊志委員長:「審査に対する影響ですけども、審査は審査で私達の責任をしっかりと果たすべく進められるものであって、今回の訴訟、並びに判決の影響を受けるものではありません」
原子力規制委員会の更田委員長は、きょうの会見で判決についてこのように述べ、「審査に影響はない」との認識を改めて示しました。泊原発の再稼働に必要な規制委員会による審査は長期化していて、申請からすでにおよそ9年が経過しています。