2022年7月10日日曜日

年間電気代200万円増も 争点のエネルギー政策

 産経新聞が電力料金値上げが介護老人保健施設に及ぼす影響や、企業が具体的に節電に取り組んでいる様子を報じました、

 入所者約100規模の老人施設では年間の電気料アップは200万円に及ぶということです。
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年間電気代200万円増も…争点のエネルギー政策、各党どう導く
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異例の早さの梅雨明けと連日の猛暑、そして電力不足の懸念が高まる中、参院選は10日に投開票を迎える。選挙戦では原発の再稼働を含めたエネルギー政策も大きな争点に。ロシアによるウクライナ侵攻で世界のエネルギー価格は急上昇し、日本でも電気料金の値上げラッシュが続く。節電を求められる現場からは「これ以上の負担は厳しい」との声も。それぞれの政策を掲げる各党は、苦境に直面する有権者の審判を仰ぐことになる。

真夏日が続く大阪市内。入所者約100人とデイケア利用者約30人を抱える介護老人保健施設さくらがわ(浪速区)では、入所者が集まる共用部の室温計が26度を指していた。
「冷房を切って健康被害を出すわけにいかない。何とか工夫して節電したいが…」と話すのは副施設長の北谷善寛さん(47)。連日の酷暑で熱中症のリスクは高まっている。認知症などで体調不良を訴えることが難しい利用者もいるため、施設側は館内の温度を26~28度に維持するよう細心の注意を払う。
日中にレクリエーションなどを行う際は、できるだけ入所者を共用部に集める。この間、個室の空調を切ったり、夜にはエレベーターの使用を中止したり。さまざまな工夫を重ねるが、電気代の高騰は切実だ。新型コロナウイルスの感染拡大以降、空調使用時も常時窓を少し開け、換気を徹底している。その影響で電気代は膨らみ続け、今春の試算では年間の電気代が昨年比で約200万円も増える見込みだ。
同施設を運営する医療法人敬英会の光山誠理事長(57)は「大変な状況なのはよく分かるが、この異常気象で高齢の入居者に負担を無理強いできない」と訴え、「国には補助などスピード感ある対応をお願いしたい」と求めた。

全国を対象とした節電期間が7月から始まり、企業も対応に追われている。100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業(広島県東広島市)は全国3200店舗で点灯する照明を減らしたり、看板の電気を消したりする節電対応を実施。同社の担当者は「電力は公共のもの。店舗数も多いので少しでも協力していきたい」と話した。
家電量販店「ヤマダデンキ」などを展開するヤマダホールディングス(群馬県高崎市)も直営店約千店舗で、売り場に展示しているテレビや照明器具のうち8割の電源を切るといった対策を始めた。

節電を後押しするため電力会社も動く。
関西電力は、節電に協力した家庭にポイントを付与するサービスに乗り出した。専用サイトから申し込むと、節電を要請する日の前日にメールで通知が届く仕組みで、節電1キロワット時あたり5ポイントを付与。電気料金の支払いなどに利用できる。
国民にのしかかるコロナと猛暑、電力不足の三重苦。参院選で各党は、原発の再稼働の是非を踏まえたエネルギー政策を打ち出し、有権者に支持を訴えている。だが仮に夏を乗り切ることができたとしても、今度はさらに需要が高まる冬が来る。
問題の根本的な解決には、ベースロード(基幹)電源の議論が不可避だ。さらにロシア軍によるウクライナの原発施設攻撃で注目された危機管理という新たな論点も浮上している。