福島第1原発の処理水を海洋放出する計画を原子力規制委が認可したことに、茨城県内の漁業関係者からは「漁業者は全員反対だ」、「処理水を流すと風評が恐ろしい」、「国からの説明がされていない。一方的だ」、「漁業者がいなくなり、漁業が衰退してしまう」などの声が上がりました。
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福島第1処理水放出認可 「一方的だ」茨城の漁業者反発 風評被害を懸念
茨城新聞 2022/7/23
東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する計画を原子力規制委員会が認可した22日、茨城県内の漁業関係者からは「反対」「一方的だ」と反発の声が上がった。
茨城沿海地区漁業協同組合連合会(茨城漁連)の吉田彰宏専務理事は「反対のスタンスは変わらない」と改めて強調。「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」とする国と東電に「この言葉通りにやってほしい」と注文した。
北茨城市大津町の大津漁港でイワシやサバを水揚げする同市大津町の漁船乗組員男性(80)は「漁業者は全員(海洋放出に)反対だ」と力を込めた。東日本大震災を振り返り「風評で魚が売れなかった。処理水を流すと風評が恐ろしい」と懸念。「国からの説明がされていないと感じる。一方的だ」と批判した。
シラスなどを取る同所の男性(72)は、後継者が減る中、風評の影響を踏まえ「漁業者がいなくなり、漁業が衰退してしまう。今後船に乗る人のことも国は考えてくれないと」と危機感を募らせる。男性の妻(68)は「どれだけ反対しても、国が決定してしまうとどうしようもない。反対を押し切るのなら、きちんとした補償すべき」と複雑な心境を見せた。
日立市内の鮮魚店で働く女性(55)は、1999年に東海村で起きた臨界事故後、風評被害で客足が途絶えた光景を今も忘れない。「処理水を今のままにしておけないのは理解できる。ただ、海に流して(営業に)影響がないとは思えない」と不安を口にした。
東電は「安全確保や科学的根拠に基づく情報の発信をしっかり進める」とのコメントを発表。同原発が立地する福島県、大熊町、双葉町の了解を得た上で、海底トンネルなどの放出設備の本格工事に着手する意向を改めて示した。
反対する漁業関係者らには「説明を尽くし、理解を深めてもらえるよう全力で取り組む」と強調。茨城県の自治体や団体などに対し、説明や理解を求める活動を継続していくとした。