EUの欧州議会は6日、原子力発電と天然ガスを「環境に配慮した投資先」のリストに加える提案について審議し、事実上承認されました。
しかし原発をその様に認定するのは大いに無理があり、一部の加盟国や環境保護団体などからは批判が噴出しています。オーストリアは6日、発効後に欧州司法裁判所に提訴する方針を示しました。
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「原発と天然ガスは環境配慮の投資先」 欧州議会がEU提案承認
毎日新聞 2022/7/6
欧州連合(EU)の欧州議会は6日、原子力発電と天然ガスを「環境に配慮した投資先」のリストに加える提案について審議した。提案に反対する決議案が議題となったが、採決の結果、否決した。提案は欧州議会に事実上承認され、当初の予定通り2023年に発効する公算が大きくなった。
ただ、放射性廃棄物を出す原発や、石炭よりは少ないが温室効果ガスを排出する天然ガスを「環境保護に貢献する」と認めることに対しては、EU内外で反発が根強い。ロイター通信によると、反対派のオーストリアは6日、発効後に欧州司法裁判所に提訴する方針を示した。
提案は、気候変動対策に貢献する経済活動を定義し、民間投資を促すEU規則「タクソノミー」に基づき、行政執行機関にあたる欧州委員会が1月に発表した。50年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを実質ゼロにするEUの目標に向けた取り組みの一環だ。欧州委は、原発や天然ガスを、再生可能エネルギー中心の経済を実現するまでの移行期に役立つと位置づけたが、一部の加盟国や環境保護団体などからは批判が噴出していた。
欧州議会の経済金融・環境の合同委員会は6月14日、原発と天然ガスをタクソノミーのリストに含める欧州委の提案に反対する決議案を採択。7月6日の欧州議会では、この決議案について採決した。ロイター通信によると、全議員705人のうち639人が投票に参加。278人が決議案を支持、328人が反対し、33人が棄権した。
原発のリスト入りには、原子力エネルギーへの依存度の高いフランスのほか、東欧諸国が賛成。ドイツやオーストリアなどは反発してきた。
一方、天然ガスについてはドイツが支持するが、オーストリアやオランダなどが反対。ロシアによるウクライナ侵攻後、欧州は露産ガスへの依存度を減らそうとしているが、ガスのリスト入りはそうした動きを逆行させ、「ロシアへの戦争資金提供につながる」と批判する声も上がっていた。【ブリュッセル岩佐淳士】