山形県と宮城県にまたがる蔵王山に最大23基の発電用大型風車を設置する計画を進めてきた関西電力は29日、風車による景観への影響等の観点から自治体や地元住民らが反対を決めたことに対して、「蔵王連峰に対する畏敬の念を十分に認識できず、配慮が足りなかった」として事業を中止すると発表しました。
景観云々となると歩み寄りが困難なので中止に踏み切ったものでそれは潔い態度でしたが、逆にこうした理由で拒否されるとなると、今後も陸上型風力発電が普及していかない惧れがあります。
オランダの風車群はある意味で不格好とも言えるものですが、いまやオランダの代表的景観の象徴にもなっています。景観とは言っても慣れに支配される要素が大きいのではないでしょうか。
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蔵王風力発電、事業中止 関西電力「配慮足りず、反省」
山形新聞 2022/7/30
本県と宮城県にまたがる蔵王山に最大23基の発電用大型風車を設置する計画を進めてきた関西電力は29日、事業を中止すると発表した。風車による景観への影響や自然保護の観点から、両県の自治体や地元住民らは反対を表明しており、蔵王を代表する御釜の風景が守られたことに胸をなで下ろした。
関電は「計画の見直しを検討した結果、環境への配慮と事業性の両立が難しいと判断した」とコメント。「蔵王連峰に対する畏敬の念を十分に認識できていなかった。配慮が足りず不信感を招いたことについて反省したい」とした。
今年5月、関電は宮城県川崎町西部の山間部に最大23基の風車を設置する開発計画を明らかにした。計画段階環境配慮書を関係自治体に送り、意見を求めたが、地元自治体や観光団体、議会などが相次いで反対の意を表明。山形市は今月、これらの意見を踏まえ、眺望景観が著しく妨げられるなどとして「本事業は進めるべきではない」との意見をまとめ、県に提出していた。
関電によると、各地で開催した住民説明会では、景観への配慮を懸念する意見が多かったという。配慮書に関する両県知事からの意見はまだ受け取っていなかった。今後、事業廃止に関する通知書を経済産業大臣や各知事に提出する。
当初から建設に反対してきた蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門会長は「白紙撤回となり、良かった。自然豊かな蔵王に風車は似合わない。いろいろな人の協力のおかげだ」と安心した様子だった。
吉村美栄子知事は「地域の人々の蔵王山への強い思いを理解してもらえたと受け止めている」とコメント。佐藤孝弘山形市長は「適切な判断をされたと考えている」とした。
関電は北海道の4地域で計画していた事業のうち、伊達市や千歳市などの1地域の事業も断念した。