日本原燃の増田尚宏社長は29日、9月末完工の目標まで2カ月に迫る核燃料再処理工場について、20年12月に1回目の設工認を申請しましたが、審査資料作成の遅れや記載漏れなどの不備が重なり、設置の認可にこぎ着けていないため、「完工の延期を視野に入れた見直しを検討する」と表明しました。延期となれば20年8月以来、26度目となります。
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再処理工場、22年度上期の完工断念 日本原燃、認可遅れで
河北新報 2022/7/30
日本原燃は29日、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)について、目標としていた2022年度上期の完工を事実上断念する方針を明らかにした。安全対策工事の詳細設計に当たる「設計・工事の方法の認可」(設工認)の審査でつまづき、認可が遅れているのが要因。現時点で完工時期は未定。延期となれば20年8月以来、26度目となる。
■「準備足りず」
青森市で記者会見した増田尚宏社長は、9月末完工の目標まで2カ月に迫る状況を踏まえ「(作業)工程を守る努力を続けるというだけでは済まない」と説明。「延期を視野に入れた見直しを検討する」と表明した。
工場は20年7月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。原燃は同年12月、1回目の設工認を申請したが、審査資料作成の遅れや記載漏れなどの不備が重なり、設置の認可にこぎ着けていない。設工認申請から1年半が経過しても審査が続く。
増田社長は「設工認に対しての準備が足りず、品質のレベルが低かった」と陳謝。その上で「当初の計画より工事の量が増え、半導体の入荷に手間取っていることで支障が出ている」と釈明した。
設工認の申請は当初3回に分割する方針だったが、増田社長は2、3回目を合わせて申請する考えも示し、「効率的な方法で確度の高い工程をつくっていく」と強調。完工目標は新たに設定する。
再処理工場は1993年に着工し、当初は97年の完工を目指していた。
9月の運転再開を目指していたウラン濃縮工場に関しては、工事の不具合が生じたため、来年2月に変更することも公表した。
青森・六ケ所村「核サイクル施設」また完成延期へ
テレビ朝日系(ANN) 2022/7/30
青森県六ケ所村で建設中の核燃料サイクル施設について、日本原燃は今年9月までとしていた完成予定時期を延期する方向で検討していることを明らかにしました。
六ケ所村に建設中の「核燃料再処理工場」は原発の使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用する施設で、1993年に着工し、1997年に完成する計画でした。
日本原燃によりますと、冷却設備の設計工事について規制庁による審査などが長期化しているため、今年9月までとしていた完成予定時期を延期する方向で検討に入ったということです。
核燃料サイクル施設の完成の延期が決まれば、今回で26回目となります。