2022年7月25日月曜日

海洋放出合意形成進まず 反対押し切り進む手続き

 原子力規制委は東電が提出していた海洋放出の審査書案を22正式に認可しましたが、処分の前提としている「関係者の理解」をいかに得ていくのか道筋は見えてなく、関係者との合意形成を欠いたまま手続きが進んできた経緯があります

 政府は21年4月に海洋放出方針を決定するまで7年余にわたる議論を「尽くした」と言っていますが、関係者にはそういう感覚はなく、合意形成を欠いたまま手続きが進んできました。
 「関係者の理解」を公に諮る手続きはそもそも存在しないという点があるものの、それを見越して約束をしたのであれば詐欺です。公の方法がなければそれに代わる独自の方法で対応して理解を得るべきです。
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【理解と了解 処理水海洋放出】合意形成進まず 反対押し切り、進む手続き
                            福島民報 2022/7/24
 東京電力福島第一原発で増え続ける処理水の海洋放出計画について、原子力規制委員会は東電が提出していた審査書案を22日、正式に認可した。漁業者らは処理水について全国の消費者への周知を政府と東電に求めてきたが、海洋放出に伴う風評被害の懸念は消えず、海洋放出に「了解」はできないとして強く反対している。政府と東電は来年春ごろの放出に向けて手続きを進めるが、処分の前提としている「関係者の理解」をいかに得ていくのか道筋は見えない
 「反対を押し切って(手続きを)進めていることを肝に銘じるべきだ」。規制委による計画認可を受けて、県漁連の野崎哲会長は22日夜、処理水に関する理解が全国の消費者らに浸透していないとして「理解なき放出」に突き進む政府と東電にくぎを刺した。

 福島第一原発では処理水をためる1060基のタンクが敷地を圧迫している。14日現在、タンク容量全体の96%に上る約131万トンの処理水がたまっている。政府は満杯になる前の来年春に海洋放出を始める方針だ。政府は2013(平成25)年12月、処理水の処分に向けた検討に着手した。2021(令和3)年4月に海洋放出方針を決定するまで7年余にわたる議論を「尽くした」(経済産業省関係者)が、地元をはじめ関係者との合意形成を欠いたまま手続きが進んできた経緯がある。

 原子力規制委が行った処理水の海洋放出に関する計画の審査書案の意見公募には1233件の意見が寄せられた。放出への賛否は異なっても、政府の合意形成の在り方を疑問視する意見が相次いだ。「包み隠さず積極的に情報を提供すべき。不安に感じる人を放置しない姿勢が重要」「政府はこの10年間、この問題を放っておいて、全国に議論も呼びかけず何をしてきたのか」「海洋放出の説明が不足している。もっと慎重な議論と対話が必要」など理解醸成に向けた政府の不十分な対応への批判が目立つ。
 「トリチウムは雨水や水道水にも存在し、放出される放射線は紙一枚で遮ることもできる」。経済産業省資源エネルギー庁の職員が23日、福島第一原発で開いた県民向けの視察・座談会で、処理水に含まれる放射性物質トリチウムの科学的な性質を説明した。座談会は処理水や廃炉の現状について住民に理解を促す目的で2020年度に始め、今年度は毎月1回のペースで催している。担当者は「(理解醸成に)特効薬があるわけではない。処理水に対する認知度を少しでも高めていかなければ」と焦りを募らせる。

 原子力規制委は今後、設備完成後の検査や運用体制の確認などを進める。一方、「関係者の理解」を公に諮る手続きはそもそも存在しない。原子力規制庁の担当者は「地元や大消費地で説明する機会があれば、積極的に安全性の発信に努めたい」としている。
 福島第一原発では今も毎日約130トンずつ汚染水が増え続け、終わりの見えない状況が続く。政府と東電は県漁連に対し、処理水について「関係者の理解なしにいかなる処分もしない」と約束している。だが、現状と乖離(かいり)した政府の強硬な姿勢に、相馬双葉漁協の漁業者は「方針はどうせ覆らないんだろう」と、あきらめに近い不信感を抱いている。