東電は26日、福島原発事故で居住制限、避難指示解除準備両区域の住民に1人当たり月額10万円を支払っている精神的損害賠償(慰謝料)を、避難指示解除の1年後の2018(平成30)年3月で一律に打ち切る方針を発表しました。
帰還の自由を認める意味での避難指示解除はあってもいいのかも知れませんが、圧倒的多数の人たちはまだ高度に汚染されたところに帰還する意思を持っていません。それを指示解除後1年で損害賠償を打ち切るというのには何の合理性もありません。
そんなことを決める権利はないのに、東電も国も何か恩恵を施していると勘違いしているのでしょうか。
東電はまた、避難指示解除準備、居住制限、帰還困難各区域の住民が避難と帰宅に掛かった交通費、避難先の家賃など実費について、賠償期間を18年3月まで延長する方針を示したということですが、これらの賠償は当然のことであり、期間を決めて打ち切るというのは筋違いです。
何度も述べていることですが、その点で30年前に起きたチェルノブイリで
・空間線量が年間1ミリシーベルトを超える地域の住民には「避難の権利」を認める
・空間線量が年間5ミリシーベルトを超える地域の住民は強制的に避難させる
の方針を採ったソ連(当時)の英明さを見習うべきです。
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慰謝料18年3月まで 居住制限、避難指示解除準備区域
福島民友ニュース 2015年8月27日
東京電力は26日、福島第1原発事故で居住制限、避難指示解除準備両区域の住民に1人当たり月額10万円を支払っている精神的損害賠償(慰謝料)の終期について、一律で2018(平成30)年3月とする方針を発表した。原発事故から7年1カ月分で、1人当たりに支払われる慰謝料の総額は850万円。請求する人は、一括払いか、18年3月まで3カ月ごとの支払いかを選ぶことができる。
政府は17年3月までに両区域の避難指示を解除する方針で、東電は「相当期間」として解除後1年分を上乗せして支払う。解除時期がそれより前でも受取額に差が出ないようにし、既に避難指示が解除された田村市都路地区と川内村の一部の住民も対象に加える。
東電はまた、避難指示解除準備、居住制限、帰還困難各区域の住民が避難と帰宅に掛かった交通費、避難先の家賃など実費について、賠償期間を18年3月まで延長する方針を示した。問い合わせは東電福島原子力補償相談室(フリーダイヤル0120・926・404)へ。
自主避難者、分かれる評価 福島県の引っ越し補助
福島民友ニュース 2015年8月27日
東京電力福島第1原発事故に伴い、県内外に避難している自主避難世帯を対象に、県が県内に帰還するための引っ越し費用の補助を発表した26日、自主避難者からは「事故前の環境に戻るまで帰ろうとは思わない」など帰還希望者のみを対象とした支援に反発する声が上がる一方で、帰還を視野に入れる避難者からは「支給されるのは助かる」との声も聞かれ、県の取り組みへの評価は分かれた。
中通りから会津若松市に家族で避難する40代女性は「(中通りの)自宅周辺は放射線量が高く、まだ子どもを守れる状況にない」と話した。一緒に避難した子どもは同市の小学校での生活に慣れていることもあり、帰還は当面考えていないという。
郡山市から山形県に一時避難した中村美紀さん(39)は避難の長期化で避難者の抱えている問題は多様化しているとして「一律の支援には避難者の意見が分かれるはず」と語った。
一方で帰還を視野に入れる避難者は今回の補助を歓迎。中通りから子どもと一緒に会津若松市に避難した30代女性は民間借り上げ住宅の無償入居が打ち切られる前の2016(平成28)年度に帰還を予定していることから「少しでも費用が支給されるのは助かる」と話した。