2015年8月15日土曜日

原発交付金は総額3兆円に 40年間で

 原発交付金は、電源開発促進税法、特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の三つに基づいて、原発立地自治体などに国から支払われるもので、いわば原発設置の危険手当・迷惑料に当たります。
 その原資は電気代に上乗せされています。
 交付金制度は74年に年額10億円程度で始まりましたが、現在では年額1100億円を超え、これまでの総額は3兆円弱になります。
 
 この制度は40年以上に渡って継続しているので地域経済の自立性は完全に失われました。
 脱原発が行われた場合、それぞれの地域が経済的に自立できるためには、交付金に見合う額を必要な期間にわたって「自立支援金」として支払う必要があるといわれています。
 
 毎日新聞が交付金額の実態を報じました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発交付金:総額3兆円…40年間、新増設促す
毎日新聞 2015年08月14日
 電気代に税金を上乗せし、地方の公共事業などに充てる「電源3法交付金制度」で、国から全国の原発立地自治体などへ支払われた交付金の総額は1974〜2013年度までに、約3兆円に上ることが毎日新聞の集計で分かった。交付金制度は電気を地方から都会へ送る仕組みとして、40年以上にわたり国内のエネルギー政策を支えている。しかし東京電力福島第1原発事故によって、事故リスクの巨大さが顕在化し、原発を受け入れる「アメ」の役目だった交付金制度は曲がり角を迎えている。
 
 電源3法交付金制度は、電源開発促進税法、特別会計法、発電用施設周辺地域整備法の三つに基づき、国から自治体へ支給される交付金や補助金で、74年に創設。原発のほか火力や水力発電所が立地する自治体分も含まれるが、大部分は原発分だ。財務省の決算資料などによると、初年度(74年度)の交付金は10億円だったが、右肩上がりに増加。11年度は原発事故を受けて健康確保事業に使途を拡大したため、2000億円近くに達した。総額は2兆9646億円に上った。
 
 交付金の使い道は道路、公共施設のほか、最近は福祉や地域おこしに拡大し、原発の新増設を加速した。05年度には最多の55基に達した。現在の税率は1000キロワット時当たり375円で、1世帯当たりでは推計月113円の負担になる。
 
 交付金のうち「電源立地地域対策交付金」は03年度に始まり、交付金全体の8割以上を占める。経済産業省は停止中の原発の稼働率を一律81%とみなして交付してきたが、今後は停止中原発への交付を減額する方針だ。原発と地方財政の関係に詳しい清水修二・福島大特任教授(財政学)は「交付金は、原発を受け入れてもらうための『迷惑料』に過ぎず、事故リスクの代償に見合うのか地方自身が考え直す必要がある」と話す。【阿部周一、酒造唯】