2015年8月11日火曜日

川内原発 正門前で抗議集会 電力供給は余裕 バス避難は困難

 川内原発の30キロ県内の自治体は、立地自治体以外の自治体は再稼動にOKを出していません。
 そんな中で11日に再稼動される川内原発の正門前では、10日も400人が集まって抗議の集会を開きました。
 原発の周辺では8日から連日抗議行動が続いており、再稼働当日も朝から正門前で集会などが予定されています。
 
 発電量の余裕については、太陽光発電の普及により電力使用率は安定的に90%を下回っていて、九電管内では猛暑のこの夏のピーク時でも87%に留まっています。
 危険な原発を稼動させる必要はまったくありません。
 
 避難計画では、原発5キロ圏でバスが必要な人は、観光客らを含め最大3000人と想定されています。鹿児島県はバス会社33社保有台数約1500台と、緊急輸送に関する協定を結びましたが、薩摩川内市の営業所が乗務員に聞き取り調査を行ったところ、半数以上が避難輸送で運転したくないと答えたということです
 運転手を対象にした訓練や事故マニュアルがないという問題もあり、労組幹部は「本人の使命感に頼らざるを得ない。運転手の確保は難しいのではないか」と懸念しています。
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川内原発:正門前で10日も400人抗議集会
毎日新聞 2015年08月10日
 川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)を11日再稼働させる九州電力。川内原発の正門前では10日も抗議集会が開かれ、約400人(主催者発表)が集まった。在任中に福島第1原発事故を経験した菅直人元首相もマイクを握り、「(立地自治体以外の)30キロ圏内の自治体は(再稼働)OKとは言っていない」と語気を強めた。
 
 電力供給に余裕がある中で再稼働させることにも批判の声が上がり、地元の「反原発・かごしまネット」事務局長、杉原洋さん(67)は「福島の原発事故以降、国民は節電意識が高まっている。原発を稼働させる必要はない」と訴えた。
 
 原発周辺では8日から連日抗議行動が続いており、再稼働当日も朝から正門前で集会などが予定されている。【杣谷健太】
 
 
川内原発:11日再稼働…猛暑の今夏でも電力供給は余裕
毎日新聞 2015年08月10日
 川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)を11日再稼働させる九州電力。「電力の安定供給」を再稼働の理由に掲げるが、節電意識の定着に加え、太陽光発電の急拡大で猛暑が続く今夏も供給には余裕がある。
 
 電力供給の余裕度は、その日の供給力に対し、ピーク時の需要がどれだけあったかを示す「電力使用率」で判断する。一般にはエアコンを一斉に使用する真夏の午後が1年で最も使用率が高くなる。九電は97%超で「大変厳しい」、95%超で「厳しい」、92%超で「やや厳しい」、それ以下を「安定」した需給状況としている。
 
 九電管内で今夏、ピーク時の需要が最も高かったのは、各地で最高気温が35度以上の猛暑日となった今月6日午後4時台で、1500万キロワットを記録した。ただこの日でも、ピーク時の供給力(1721万キロワット)に対する使用率は87%にとどまった
 
 九電管内の原発は福島の原発事故後の2011年12月までにすべて停止し、12年夏には使用率が90%台まで高まった日が17日あった。しかし、昨夏は90%台が5日で、今年はまだ1日もない。九電は12年の夏を最後に、数値目標を定めた節電要請をしていない。
 
 電力供給にゆとりが生まれた背景にあるのが太陽光発電の広がりだ。原発事故前の10年度末に56万キロワットだった九電管内の太陽光の導入量は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を受けて、今年6月末には10倍近い517万キロワットまで増えた。太陽光は天候により出力が大きく変動するが、晴天続きの夏場はピーク時の供給力に大きく寄与している。
 
 余裕がある中で再稼働する理由について、九電は原発停止に伴い、運転から40年以上の「老朽化」した火力発電所を稼働させている点を挙げる。他方で、経営環境が悪化し火力発電の修繕費も減らさざるを得ず、6月以降の発表分だけでトラブルが4件に上った。
 
 九電幹部は「火力発電がトラブルで停止すれば一気に供給力が不足する。原発が再稼働しなければ安定供給できなくなるかもしれないという不安と常に隣り合わせだ」と説明している。【関東晋慈、遠山和宏】
 
 
バス避難、実効性に疑問 運転手の確保課題に「使命感」頼り
 川内再稼働
時事通信 2015年8月10日
 東京電力福島第1原発事故を教訓に作られた新規制基準の審査を通り、全国で初めて再稼働する九州電力川内原発1号機。地元の鹿児島県薩摩川内市など30キロ圏内の9市町は、事故が起きた場合の避難計画を既に策定している。車を使えない住民はバスで避難するが、現場の運転手からは「放射能が怖い」「乗りたくない」との声が上がっているといい、実効性には疑問も残る。
 
 県の計画は自家用車による避難を原則としている。車を持っていない住民は近隣の人に乗せてもらうか、各自治体が決めた避難場所に集合してバスで移動する。事故が起これば直ちに避難する原発5キロ圏でバスが必要な人は、観光客らを含め最大3000人と想定している。
 県は6月、県バス協会や9市町に本社や営業所があるバス会社33社と、緊急輸送に関する協定を結んだ。バス会社は運転手の被ばく上限を1ミリシーベルト以内とし、避難に協力。33社が保有するバスは計約1500台に上り、県は「避難計画の実効性がより高まった」と説明する。
 一方、あるバス会社の労働組合幹部によると、薩摩川内市の営業所が乗務員に聞き取り調査を行ったところ、半数以上が避難輸送で運転したくないと答えたという。労組幹部は「本人の使命感に頼らざるを得ない。運転手の確保は難しいのではないか」と懸念する
 別のバス会社の労組幹部は、運転手を対象にした訓練や事故マニュアルがないと指摘。「協定は締結したが、実態が見えない。社には講習会を開いてもらい、具体的に説明してほしい」と話し、訓練の実施などを会社に求める方針という。