福島原発の1~3号機建屋とトレンチ接合部の閉止が完了しトレンチ内の水を排除できたことに伴い、これまで中断していたトレンチ周りの凍土壁工事に着工しました。
ただし当初のトレンチを貫通して凍結管を打ち込む方法はやめて、トレンチ上部の浅いところだけを凍結させる方法に変更するということです。そうなると深部には凍土壁が出来ないわけなので、かなり根本的な変更になります。
何よりも、肝心な海側の凍土壁の3箇所に巨大な穴が開くわけなので、それでは汚水の海への流出を阻止できる筈がありません。
山側の凍土壁もいつまで経っても完全に凍らないようです。
この理由は明らかで、地下水の流れが部分的に流速10~70cm/時を超えているからです。東電と業者は地下水の流速は10cm以下/時だから大丈夫ということでスタートしましたが、一部が凍結すれば残りの部分では流速が上がるので完全に凍る筈がないのです。
「開発的な要素がある」からという名目で国費400億円弱を投じた工事が、いまは、全く無駄になるかどうかの瀬戸際です。
「開発的な要素がある」からという名目で国費400億円弱を投じた工事が、いまは、全く無駄になるかどうかの瀬戸際です。
いうまでもないことですが、規制委と東電はこの問題を完全に解決する責任を負っています。
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規制委、「凍土壁」を全面認可 東京電力、海側着工へ
福島民友ニュース 2015年8月5日
政府と東京電力が、福島第1原発で増え続ける汚染水対策の切り札とする「凍土遮水壁」について、原子力規制委員会は4日までに、全ての工区で着工を認可した。
東電は近く、未着工だった海側(東側)の一部でも建設に着手し、試験凍結を行っている建屋山側から海側まで凍らせる範囲を広げたい考えだ。凍土壁工法は、国内では地下鉄工事など一部で取り入れられてきたが、福島第1原発では前例がない範囲を凍らせるため、技術的な課題を克服できるかが焦点となる。
東電は、海側のトレンチ内の汚染水抜き取りを7月にほぼ完了。規制委が指摘したトレンチ部分の施工方法を見直し、7月31日付で認可が下りた。見直し後は、埋設する凍結管がトレンチを貫通しないようにしてトレンチ上部の浅い地盤だけを凍らせる。東電は「地下水の流入量を抑える効果を見極めた上で、トレンチ下部の深い地盤も凍らせるかを検討する」としている。