福島原発事故による甲状腺検査の2巡目検査(平成26、27年度)で、今年6月末までに甲状腺がんと確定した人は6人となりました。1巡目の結果と合わせると合計104人となります。
2巡目の新たにがんの「疑い」があるとされた人は19人で、1巡目と合わせると33人となります。
いずれも極めて高い比率ですが、県民健康調査検討委の星北斗座長は「現時点で、放射線の影響は考えにくい」との見解を示しました。最も疑わしい要因が何故真っ先に否定されるのか、分かりにくい話です。
甲状腺検査結果のまとめ
調 査 期 間
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1巡目
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2巡目
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合 計
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対 応 年 度
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H23~25
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H26~27
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H23~27
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対 象 人 員
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約37万人
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約37・8万人
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約37・8万人
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2次検査対象者
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2294人
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1223人
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3517人
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がん確定者
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98人
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6人
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104人
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がんの疑い
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14人
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19人
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33人
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それとは別に、福島県は、1巡目の対象者のうち、将来的に「がん」「がんの疑い」となる可能性がある人数を独自に分析し、県内のがんの増加は「予想していない」と結論付けた国連放射線影響科学委員会などの見解を検証するということです。
それが福島医大などが主導して予定調和型の結論を得るのであれば価値は殆どありませんが、原発事故前後の変化を科学的に分析するということであれば、ある程度保護者の関心事に応えるものになると思われます。
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甲状腺がん確定、1人増え6人に 県民健康調査
福島民報 2015年9月1日
東京電力福島第一原発事故による影響を調べる甲状腺検査の本格検査(平成26、27年度)で、今年6月末までに甲状腺がんと確定した人は6人となり、同3月末現在の5人から1人増えた。8月31日に福島市で開かれた県民健康調査検討委員会で明らかになった。星北斗座長(県医師会副会長)は「(これまでの傾向などから)現時点で、放射線の影響は考えにくい」との見解を示した。
がんの疑いは19人で3月末現在の10人から9人増えた。「確定」と「疑い」の計25人は男性11人、女性14人で、東日本大震災当時、6歳から18歳だった。このうち、事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できた14人を見ると、最大は2.1ミリシーベルトで、1ミリシーベルト未満は4人だった。
23~25年度に実施した1巡目の先行検査の確定結果も報告された。6月末現在で甲状腺がんと確定した子どもは、3月末現在と同じ98人、がんの疑いは1人増えて14人となった。
甲状腺検査、将来の傾向推定 県が新研究
福島民報 2015年9月1日
(福島)県は、東京電力福島第一原発事故を受けて平成23~25年度に実施した甲状腺検査の先行検査の対象者のうち、将来的に「がん」「がんの疑い」となる可能性がある人数を独自に分析し、今後の健康管理の在り方に反映させる。新たな調査研究は県から委託を受けた福島医大などの専門家による合同チームが実施する。県内のがんの増加は「予想していない」と結論付けた国連放射線影響科学委員会などの見解を検証する形となる。
8月31日、福島市で開かれた県の県民健康調査検討委員会で示した。先行検査は原発事故当時18歳以下の約37万人が対象で約30万人が受診した。これまでに98人が「がん」、14人が「がんの疑い」と診断された。これらの積み上げたデータを基に、今後の変動の見通しなどを探り、必要な対応を検討する。
具体的には、国立がん研究センターが甲状腺がんの全国的な患者数や傾向などをまとめた統計と県民健康調査のデータを突き合わせ、特徴や相違点などを明らかにし、将来の患者数を予測する。
研究チームは福島医大のほか大阪大、名古屋大、放射線影響研究所の専門家で構成する。研究成果は論文として今年度中にまとめて公表するとともに、速やかに検討委員会に報告する。
甲状腺検査をめぐっては、これまで調査結果のみが公表され、将来的な見通しなど詳細な分析はされてこなかった。県や福島医大が県民の健康を見守ることを検査の主眼に置いてきたためで、検討委では被ばくの影響の解明を求める意見が出ていた。
さらに、保護者からも「低線量被ばくは、甲状腺がんに、どう影響するのか詳しく知りたい」などの声が相次いでいた。県は、本県調査を客観的に分析することで、子どもと保護者の疑問解消の一助につながると判断した。
このほか、県は地域ごとの甲状腺がんの発生状況について、相関関係の研究も進める。原発事故前の各地域の発生状況をあらためて調査するとともに、甲状腺検査の結果を比較し、原発事故前後の変化も確認する。各地域の喫煙率や塩分摂取量などの生活習慣との関連性の調査も視野に入れている。
(福島)県県民健康調査課は「先行検査では98人が、がんと確定した。しかし、この数字が将来も大きく変動する可能性はないのか精査していきたい」としている。