北海道新聞 2015年9月5日
電源開発が大間原発(青森県大間町)の運転開始予定を1年先延ばしして行う追加地質調査は、立地する下北半島の隆起原因が「地震ではない」とする自説を補強する狙いだ。ただ、専門家らが指摘する「地震」説を打ち消す材料になるとは限らず、隆起原因をめぐる原子力規制委員会の審査がさらに長引く可能性もある。
大間原発の地震・津波対策の審査で最大の焦点は、下北半島の隆起が過去の地震によるものかどうかだ。地震の可能性が否定できなければ、津軽海峡に未知の活断層があると想定し、原子炉などの耐震性を見直さなければならない。
今回の調査対象の一つは大間原発の北約5キロにある「弁天島」だ。かつて波に削られた海水面付近の地面が、現在は海水面より高い位置に階段状に残っている。電源開発は、縄文時代以降の海水面の低下や、軟らかい地盤が東西から押されて緩やかに隆起したためだと説明している。平らな面ができた年代などを調べ、説明を補強したい考えだ。
一方、一部専門家は津軽海峡にあるとみられる活断層が12万~13万年前より新しい時代に繰り返し地震を起こしてできたとみている。規制委も関心を寄せ、7月の審査会合で「予断を持たず評価をしてほしい」と電源開発に地震説を排除しないよう求めている。 (東京報道 内本智子)