定期検査で停止中の川内原発が8日にも再稼働する見通しの中で、三反園訓知事が「私に原発を稼働させるか稼働させないかの権限はない」と語り事実上容認したことに対して、ブログ:院長の独り言と植草一秀の「知られざる真実」が痛烈に批判する記事を出しました。
当選してしまうといずれこうなるのではないかという観測は早くから一部にありました。
三反園訓氏が知事選に立候補するに当たり、「川内原発の停止、安全性の再調査を九州電力に申し入れる」などとする政策協定を締結して降りた平良行雄氏が、三反園氏の当選後に会おうとしても多忙を理由に会わなかったと伝えられています。
そして県民の安全を守る最高責任者の知事の容認がなければ、原発再稼働などはできないというのが、これまで積み重ねてきた実績なのに、それを自ら簡単につぶしてしまいました。これは許されない裏切りです。
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「反原発」票を食い逃げした鹿児島県知事
院長の独り言 2016年12月04日
原発が全国で唯一稼働している鹿児島県の知事選挙に自称「反原発」派の知事が、本年の7月に誕生していた。
・当選後には徐々にスタンスを変更していたが、最終的に「私に原発を動かすかどうかの(決定をする)権限はない」と逃亡どころか、現在暗黙に了承されている再稼働のハードルを一挙に下げる原発推進の発言を行った。
・イソップ寓話のコウモリを連想させる行為であり、もはや鹿児島県知事は、脱原発にとって有害無益の存在と成り下がった。
鹿児島県知事に、民間のジャーナリスト 「三反園訓」が当選したのは、今年7月のことである。
初当選三反園氏「県民の声」 刷新訴え一本化奏功 鹿児島知事選
西日本新聞 2016年07月11日
(前略)
勝利の原動力になったのが「一本化」だ。三反園氏は告示6日前、反原発団体が擁立し、共産党県委員会が推薦した平良行雄氏(56)と「川内原発の停止、安全性の再調査を九州電力に申し入れる」などとうたった政策協定を締結。平良氏は立候補を見送った。
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あの保守の強い鹿児島県で、「反原発」派の知事が誕生したことは当時は大きな驚きを持って報道された。私自身もかなり期待をしていたのであるが、当選当初より変質していたことは報道されていたようだ。
「原発ばっかり、答えようがない」 当選後、報道陣振り切る三反園氏
…九電「元の木阿弥」募る懸念
産経新聞 2016年7月12日
当選後会見から一転、歯切れの悪さ
「原発は昨日から散々言っている通り。それ以上もそれ以下もありません。もう少し待ってください。原発ばっかり…私も答えようがないので」
11日朝、三反園氏は、川内原発について報道陣の問いかけに答えず、振り切るように鹿児島市内の事務所を後にした。
10日夜、三反園氏は同じ事務所で「原発のない社会を目指す。ドイツのように自然再生エネルギーを推進する。安全性が確保されていない原発を動かすわけにはいかない」と声を上げた。「脱原発」の姿勢を明確にした。
喜びに沸く事務所には、地元の反原発団体「反原発・かごしまネット」代表の向原祥隆氏も訪れ、三反園氏の勝利を祝った。
反原発派はもともと、メンバーを独自に擁立する予定だったが、原発停止や再調査に関する合意文書を交わし、三反園氏への一本化を図った。これを受け、三反園氏は、川内原発の点検、停止を公約に掲げた。
立候補を取りやめた団体のメンバーは「一本化で流れが変わったのは間違いない。原発停止の約束を、(三反園氏に)果たさせる」と興奮気味に語った。
向原氏も「(原発停止に)早急に着手してもらいたい。やらなければ県民を敵に回すことになる」と力を込めた。三反園氏が公約で掲げた原子力の課題を協議する検討委員会の設置には「原発反対派も入れてもらう」と要求した。
だが、意気揚々の反原発派とは対照的に、三反園氏を支援した鹿児島市議は「つかず離れずにやっていくしかないでしょう」と冷めた様子でつぶやいた。
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当選直後から、おかしな感じであったことが伝わってくる。そして、今回の再稼働の事実上の「容認」
三反園知事が〝公約〟翻す? 川内原発の運転再開容認 「権限ない」と起動前検討委にこだわらず
産経新聞 2016年12月1日
鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事は1日の定例県議会で、九州電力川内原発の安全性を議論するため新設する検討委員会に関し、8日にも予定される川内1号機の原子炉起動前の設置にこだわらない考えを示した。「私に原発を動かすかどうかの(決定をする)権限はない」とも強調した。事実上、定期検査からの運転再開を容認したことになる。
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もともと、知事に「原発再稼働」の権限がないのは明らかではあるが、いままでは県民の安全を守る最高責任者の知事の容認がなければ、ゲンパツ再稼働などはできはしないというのが、これまで積み重ねてきた実績なのである。その実績を、つぶしたのであるから三反園氏の発言は、脱原発に有利になるどころか、原発推進派が泣いて喜ぶ発言に他ならない。
ニュースキャスター、マスコミの人間は、出演しているときだけ、視聴者を煙に巻けばそれで済む。その習性を見事に体現したのが、この鹿児島県知事であり、先日の東京都知事候補ではないか。
さらに、鹿児島県で行われる原発安全性の議論を行う専門家チームは、税金を支出するにもかかわらずメンバーを公表しないらしい。まさしく、「脱原発」の票を食い逃げしただけ。むしろ、原発は安全、再稼働させると発言していた 前知事の方が、主張を明らかにしていただけ、はるかにマシであった。
国民をだますのなんて簡単 と高笑いする権力者達の嗤いが聞こえてくる。
<川内原発再稼働>鹿児島県・三反園知事の主権者裏切り
植草一秀の「知られざる真実」 2016年12月4日
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する」
日本国憲法は、この書き出しで始まる。主権者は国民である。しかし、国民が直接、政治権力を行使するわけではない。
「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」
国民が正当な選挙で代表者を選び、選ばれた代表者が、国民の厳粛な信託により、権力を行使する。代表者は、この基本を踏まえなければならない。国民に選ばれた代表者だからといって、好き放題、勝手し放題は許されないのである。とりわけ重要なことは、選挙に際しての公約である。
選挙で当選するとは、主権者である国民に公約を明示し、「その公約を必ず守る」という「契約」を交わすことと同義である。選出された代表者は、契約を履行する義務を負っていると認識する必要がある。
米国大統領選で新しい大統領に選出されたトランプ氏は、「トランプと米国有権者との契約」と題する文書を発表した。この文書にはトランプ氏のサインが記入されており、有権者のサイン欄に有権者がサインすることで契約書が完成される形態がとられている。
ビジネス界出身のトランプ氏ならではの流儀であると言えるが、選挙で選出される代表者は、「国民の厳粛な信託」によって政治権力を行使することになることを厳しく認識しなければならない。この点において、日本政治の現状はあまりにも悲惨である。
安倍自民党は2012年12月の総選挙で「TPP断固反対!」のポスターを貼り巡らせて選挙を戦った。それなのに、3ヵ月後にはTPP交渉への参加を決定。その後は、日本の国益を次から次へと放棄してTPPに突き進んだ。消費税増税については、「再延期はしない。そう断言します。」と明言しておきながら、再延期を表明。その理由として、「新たな判断」と言って開き直った。
沖縄では、翁長雄志氏が、「あらゆる手段を駆使して辺野古に基地を作らせない」と言いながら、「辺野古に基地を作らせない」ための手段を駆使せずに、辺野古米軍基地建設を事実上容認している。そしてまた、新しい公約破りの行動が表面化している。
本年7月10日に実施された鹿児島県知事選で新知事に選出された三反園訓氏が、定期検査で停止中の九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働を事実上容認する行動を示している。この選挙では川内原発の再稼働問題が最大の焦点になった。
三反園氏は、川内原発の再稼働を推し進めた現職候補の伊藤祐一郎知事による県政を批判し、「原発のない社会を作ろう」「ドイツにならい、鹿児島を自然再生エネルギー県に」などの主張を掲げて、脱原発を訴える選挙戦を展開して、知事選に勝利した。
この三反園新知事が、11月28日、定期検査中の九電・川内原発1号機の運転再開を事実上容認した。「川内原発稼働阻止」という「県民の厳粛な信託」によって新知事に選出された三反園氏の鹿児島県民への裏切り行為であると言わざるを得ない、鹿児島県民は三反園氏の変節に対して、厳しい対応を示す必要がある。
主権者による「厳しい対応」とは、「不信任」であり、「リコール」である。
安倍首相は、TPPを熱烈推進し、原発稼働を熱烈推進し、戦争への加担を熱烈推進している。そして、沖縄での米軍基地建設およびオスプレイ配備を熱烈推進している。
これらの行為が、「国民の厳粛な信託」に反するものであるなら、日本国民は、安倍政権に退場を命じる必要がある。安倍政権を退場させるには、次の衆議院総選挙で、安倍政権与党勢力を過半数割れに追い込むことが必要だ。そして、主権者の意思を反映する公約を明示する政治勢力に、過半数議席を付与する必要がある。これを確実に実現しなければならない。
(以下は有料ブログのため非公開)