原発事故発生時18歳以下の福島県民を対象とした甲状腺検査において、2巡目の本格検査(9月末現在)で確定がんとされた人は44人(6月末時点から10人増)、がんの疑いありは24人で、合計68人となりました。このうち1巡目の検査で「問題なし」とされていた人は62人でした。
1巡目の検査と合わせて受診者約27万人中、がんと診断された人は145人に達しました。これは100万人中537人の発症率となり異常に高率です。(注.福島事故以前は100万人中1~2人と言われていました)
国や県はがんが極めて効率で発症していることについて、これまで「スクリーン効果(多人数を対象とした検査)」によるものとか検査機器の精度が向上したから(とか不要な手術を行った)などということを言い訳に使ってきましたが、それは2巡目で新規に44人のがんが確定し、18人ががん疑いに転化したことに対しては通用しません。それににもかかわらず県の検討委が、「現時点で放射線の影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示したのは全く理解できません。
また日本財団が県に対して行ったという、「今後は希望者だけを検査すればよい」という提案も大間違いであり、今後も引き続き全員を検査してがん患者の発生に備える必要があることが明らかになりました。
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甲状腺がん・・計44人に、2巡目検査で新たに10人 県民健康調査
福島民友 2016年12月28日
県と福島医大は27日に開かれた県民健康調査検討委員会で、原発事故発生時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査を巡り、2巡目の本格検査(9月末現在)で新たに10人が甲状腺がんと診断され、累計44人になったと報告した。がんの疑いは24人。
「がん」や「がん疑い」は前回報告(6月末時点)から9人増の計68人で、このうち62人が1巡目の先行検査で「問題なし」と診断されていた。検討委は「現時点で放射線の影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示している。
検査では原発事故直後から3年目までの先行検査と、2014(平成26)年4月から始まった本格検査の結果を比べて放射線影響などを調べる。程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。本格検査は14年度に25市町村、昨年度は34市町村で行い、約27万人が受診した。
「がん」や「がん疑い」と診断された68人のうち62人が先行検査でA1、A2と診断され、5人がB判定、先行検査未受診が1人だった。68人の内訳は男性31人、女性37人で腫瘍の大きさは5.3~35.6ミリで事故当時の年齢は5~18歳。このうち事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できたのは35人で最大値が2.1ミリシーベルト、15人が1ミリシーベルト未満だった。
約30万人が受診した先行検査と合わせ、これまでに「がん」と診断されたのは計145人、「がん疑い」は38人となった。