福島県高校生の東北演劇大会は23~25日、いわき市のいわき芸術文化交流館アリオスで開かれていますが、相馬農高飯舘校演劇部は2年連続で出場しています。
今年の芝居テーマは「学校再開」で、現在の福島市内の仮設校舎から元飯舘村に戻ることになったときに、村に通学せずに転校を選んだ福島市出身の2年生を描きます。
同校の生徒の7割は村外出身なので、もしも来春地元校が再開する時には転校を選択する生徒も予想されます。時期は未確定にしても、部員たちはやがて迎える現実を二重写しにしながら演じることになります。
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<原発事故> 高校演劇部が学校再開の戸惑い描く
河北新報 2016年12月23日
東京電力福島第1原発事故に伴い福島市の仮設校舎で学ぶ相馬農高飯舘校(福島県飯舘村)の演劇部が、高校演劇の東北大会に2年連続で出場する。今年の芝居テーマは「学校再開」。生徒5人はいずれは仮設校舎が消える自校と重ね、複雑な思いで舞台に立つ。
芝居は、福島市内の仮設校舎に別れを告げる修了式前日の設定。本来の校舎がある飯舘村に戻ることになるのだが、村に通学せず転校を選んだ福島市出身の2年生を描く。「卒業まで(再開を)待ってくれたっていい」と声を荒らげる場面もある。
現実の世界では、飯舘村の避難指示は来春、一部を除いて解除される。飯舘校の今後は未定だが、生徒66人のうち7割は村外出身。地元再開時には転校を選択する生徒も予想される。
福島市出身の部員たちは芝居に自身を投影させる。「仮設校舎がなくなることは想像できない。悔しい気持ちになる」と部長の2年菅野千那さん(16)。2年後藤滝翔(りゅうと)さん(17)は「(学校再開の)悪い面が見えてしまう。(福島市に)残る人たちのことも知ってほしい」と訴える。
飯舘村出身の部員は2年高橋夏海さん(17)だけ。学校再開が現実になれば「私は村に戻りたい。でも転校する仲間にどう接したらいいのだろう」と悩む。
顧問で脚本を手掛けた西田直人教諭(47)は「この学校もいつか再開する。最後の日をみんなで想像してほしかった」と話す。
東北大会は23~25日、いわき市のいわき芸術文化交流館アリオスで開かれる。相馬農高飯舘校の舞台は24日午前11時半から。