厚労省は16日、福島原発事故で放射線に被ばくし甲状腺がんを発症した40代の東電社員の男性を労災と認定しました。甲状腺がんが被ばくによる労災と認められたのは初めてです。
甲状腺がんは摘出すれば生命の危険は少ないという言われ方をされますが、甲状腺を全摘出した場合甲状腺ホルモンを分泌する器官がなくなるため、ホルモン製剤を生涯飲み続ける必要があります。しかし完全なホルモン剤はあり得ません。
甲状腺ホルモンが不足すると、免疫が大幅に低下するので、何時も疲れてだるく、すぐに風邪を引く流行性の病気にかかりやすくなるなどの障害がでると言われています。
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福島原発事故 甲状腺がん初の労災認定
河北新報 2016年12月17日
厚生労働省は16日、東京電力福島第1原発事故で放射線に被ばくし、甲状腺がんを発症した40代の東電社員の男性を労災と認定した。甲状腺がんが被ばくによる労災と認められたのは初めて。同省は今回の認定のために、甲状腺がんを認定するための目安を新たに策定したと発表した。
関係者によると、男性は2012年まで20年間、放射線業務に従事。第1原発3、4号機の運転員も務め、1、3号機の水素爆発にも遭遇していた。国が原発事故後の過酷な状況での被ばくと、がん発症との間に関連があることを認めた。
厚労省の担当者は「医学的因果関係は明らかでないが、労働者救済の観点から認定した」としている。
策定した目安は(1)被ばく量が100ミリシーベルト以上(2)発症まで5年以上(3)他の要因も考慮する-との内容。
男性は1992年から12年まで原子炉の運転・監視業務に従事。11年3月から12年4月までは第1原発事故の収束作業にも携わった。20年間の被ばく量149.6ミリシーベルトのうち139.12ミリシーベルトは事故後に浴びていた。14年4月に甲状腺がんと診断されたが、既に甲状腺を切除し、職場復帰している。
東電によると、11年3月から12年4月までに第1原発事故による被ばく量が100ミリシーベルトを超えた社員らが174人いる。継続的な健康状態把握が求められる。