福島から川崎市に自主避難している生徒が中学校に在学中、同級生から「福島県民はバカだ」とか「近づくな」と言われ、たたかれたり蹴られたりするいじめを受けていたことが分かりました。
生徒は小5の時に転校し、市立中学校に入学すると同級生からいじめを受けました。生徒や保護者は学校に相談したときは相手側がいじめを認めなかったため解決には至らなかったものの、その後そうしたいじめはなくなりました。
神奈川県内の高校に進学してから少しずつ落ち着いた生活ができるようになっているということです。
市の教育委員会は「早急に事実関係を確認したい」としたうえで、市内に52ある市立中学校に対して調査するよう指示しました。
東京千代田区での避難生徒のいじめの問題については14日付でNHKの短い記事を紹介しましたが、日刊スポーツが記事を出しましたので詳報として紹介します。
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原発事故で自主避難の生徒へのいじめ 川崎市でも
NHK NEWS WEB 2016年12月14日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、川崎市に自主避難している生徒が中学校に在学中、同級生から「福島県民はバカだ」と言われ、たたかれたり蹴られたりするいじめを受けていたと学校に訴えていたことが弁護士への取材でわかりました。市の教育委員会は「早急に事実関係を確認する」としています。
原発事故で、神奈川県内に自主避難している人たちを支援している弁護士グループによりますと、いじめを受けていたと訴えたのは川崎市の市立中学校に通っていた現在、高校2年の男子生徒です。
弁護士によりますと、男子生徒は中学校に在学中、同級生から「福島県民はバカだ」と言われたうえ、たたかれたり、蹴られたりしたということです。生徒と保護者は学校に相談しましたが、相手側がいじめを認めず、解決には至らなかったということです。
川崎市教育委員会は先月、自主避難している児童・生徒などを対象に調査を行った結果、「いじめはない」としていましたが、卒業生は調査に含まれていませんでした。
教育委員会は「早急に事実関係を確認したい」としたうえで、市内に52ある市立中学校に対して調査するよう指示しました。
支援に当たっている黒澤知弘弁護士は、「いじめの相談はほかの避難者からも寄せられていて、しっかりとケアする必要がある」と話しています。
原発事故で自主避難している児童や生徒をめぐっては、横浜や新潟などでも、いじめの訴えが相次いでいます。
小5で自主避難 中学でいじめに
弁護士によりますと、男子生徒は小学5年生の時に原発事故が起き、直後に家族そろって自主避難したということです。
生徒の家族は親族を頼って、川崎市にアパートを借りて生活を始めました。新学期に合わせて公立の小学校に転入しましたが、知り合いがおらず、緊張して周囲と打ち解けることができなかったということです。
避難生活で家族が節約していることを知った生徒は、好きな本があっても買わずに、立ち読みをしたり図書館に行ったりするなどして我慢したということです。
市立中学校に入学すると、同級生からいじめを受けたといいます。「福島県民はバカだ」とか「近づくな」などと言われ避けられるようになったほか、たたかれたり蹴られたりしたということです。
生徒や保護者は学校に相談しましたが、相手側がいじめを認めなかったため解決には至りませんでしたが、その後こうしたいじめはなくなったということです。
現在、男子生徒は神奈川県内の高校に進学し、勉強やクラブ活動を行うなど少しずつ落ち着いた生活ができるようになっているということです。
東京の中学で福島いじめ 原発避難生徒をカツアゲ(詳報)
日刊スポーツ 2016年12月14日
東京電力福島第1原発事故のため福島県から自主避難し、東京都千代田区の区立中学に通う生徒に対し、同級生によるいじめがあったことが13日、千代田区教育委員会への取材で分かった。学校の生徒や保護者への調査によると、生徒は複数から「避難者」「ばらすぞ」などと言われ、3人の生徒から菓子代など計約1万円を支払わされていた。一方、同級生は「避難者」と呼んだことを否定するなど食い違いもあり、区教委では第三者委員会を立ち上げ、詳しい調査を行う。
「避難者と呼ばれた。お金がないんだろうと言われるのがつらかった」。いじめを受けたという生徒は、意に反してドーナツやジュースをおごらされた理由について、そう説明しているという。生徒の母親は学校の調査に、同級生から「ばらすぞ」と言われていたとも話しているという。
区教委によると、11月下旬、母親から「子どもが財布からお金を抜いている」と学校に連絡があった。学校はその日に、母親に詳しい事情を聞き取り、区教委にも報告。翌日に生徒からも学校が聞き取り調査を行ったという。生徒は、複数の同級生に「『避難者』と言われた」とし、別の同級生3人から「お菓子などをねだられた」と話したという。他に、教科書やノート、資料集がなくなったとも明かしたという。
一方、生徒を「避難者」と呼んだとされる同級生の複数は、学校の調査に対して、避難者と発言したことを否定。この「複数」の中には、生徒が避難中であることを知る同級生もいれば、「避難者と知らなかった」と話す同級生もいた。生徒がおごらされたと話す同級生3人は学校の調査に、計約1万円の支払いについて「おごってと言った」などと認める一方、いずれも、いじめの認識はなかったとした。1人は電車代を「借りたが、返したと思う」と話しているという。
千代田区教育委員会の担当者によると、「本人は精神的な苦痛を受けており、学校はいじめと認識している」と説明。一方で「本人の話と、同級生の話に食い違いもある」としており、弁護士や臨床心理士などによる第三者委を早急に立ち上げることを決めた。学校、区教委としても調査は続けるという。千代田区の石川雅己区長は13日、「教育委員会から一報を受けた。詳細を把握しているが情報を整理している」とした。
福島県内から都内に家族で避難している母親の1人は「子どもたちが、『福島に帰れ』と言われたり、『お金もらってんでしょ』と言われたことはある」と明かす。この母親の次男の友だちは兄弟3人全員が避難先で不登校になったという。その上で「うちは兄弟がそばにいますが、同じ福島から来た子どもがそばにいない子どもはつらい」と話した。