2016年11月20日日曜日

国民に負担させるのではなく「まずは株主や銀行に負担を」(大島堅一教授)

 原発の発電コストの権威である大島堅一立命館教授のツイートが、「晴耕雨読」に掲載されましたので紹介します。
 一つは、経産省の作業部会に提案された、原発事故損害賠償費用や廃炉費用などを工面するために、本来電力の消費者が負担すべきであった事故用の保険料を最大50年さかのぼって負担させよう=徴収しようという構想に関して、それに基づいて原発の発電コストを見直すとどうなるかという件です。
 もう一つは、同氏の発言がもとになって、脱原発を掲げる国会議員らから「まずは株主や銀行に負担させるべきだ」という反対意見が出ている件です。
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問題提起して良かった
→“脱原発”超党派議員「まずは株主や銀行に負担を」
大島堅一教授 晴耕雨読(2016/11/18) より転載 
 (前  略)
2016/11/16 - 共同通信 47NEWS https://t.co/xx3JEd31sO 
原発利用「過去分」に反発 福島事故賠償の国民負担案
共同通信 2016/11/16 20:26
 経済産業省は16日、有識者による「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会を開いた。東京電力福島第1原発事故の損害賠償費用を工面するため、原発による電気の利用者が事故に備えた保険料として積み立てるはずだった「過去分」と称し、最大50年さかのぼって国民から広く徴収する案を検討した。ただ原発を持たない新電力の反発が強く、議論は曲折もありそうだ。
 
 現在は、大手電力が一般負担金として電気料金から賠償費用の一部を回収。2015年度は総額1630億円で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東電が担う特別負担金や交付国債と合わせて費用を拠出する。
 
原発のコストの実績値、資源エネ庁が言うように、福島原発事故のコストをあらかじめ徴収すべきだったとして、もし東京電力だけでまかなっていたら、12.8円/kWh、電力九社では11.0円の発電コストになる。
もし、賠償だけでなく事故費用全てをあらかじめ用意しておくべきとするなら、東京電力だけで考えると16.2円/kWh、電力九社だと12.0円/kWhとなる
 同時期の火力は9.9円/kWh、一般水力3.9円/kWhだから、原発が最も高かったということになる
もちろん、賠償費用、事故費用総額は今後も増大するから、発電コストは上昇する。
 
 問題1:これはまず、東京電力の福島原発事故発生責任を問わない主張である。
 問題2:仮に、原発事故賠償費用を確保しておくべきであったというのであれば、 
1) 原発事故は予測できていたにもかかわらず、国(政府・資源エネ庁)それを怠り、 
2) さらに国は、損害賠償のための資金を確保する措置をとることを怠っていたということになる。
 問題3:川内原発1,2号機、伊方原発3号機が再稼働しているが、それらが事故を引き起こしたときにどの程度の損害賠償費用が発生するのか、またそのための措置はとられているのか、といった論点が浮上。
 
 現時点では、そのような措置は執られていない。
 事故費用の推計と、費用確保の措置をとらなければならない。
 現在、その措置をとることを国・電力会社が怠っている。
 
問題提起して良かった。
 
2016/11/18 - テレビ朝日系ANNニュース  https://t.co/bKZCRRIim5   
“脱原発”超党派議員「まずは株主や銀行に負担を」
テレビ朝日系ANNニュース 2016/11/18 07:03 
 東京電力・福島第一原発の廃炉・賠償費用について、経済産業省が国民負担を検討していますが、脱原発を掲げる国会議員らからは「まずは株主や銀行に負担させるべきだ」という声が相次ぎました
 
 廃炉と賠償の費用は18兆円に膨れ上がるとみられ、経産省は電線の使用料に上乗せし、すべての利用者に負担させる方向で検討しています。17日、脱原発を掲げる超党派の議員らの会合では、「まずは東電を法的整理し、投資として株を買った株主や債権者である銀行が負担し、その後に利用者に負担させるのが順序だ」などの声が相次ぎました。経産省の幹部は「東電は破綻させずに責任を果たさせることを当時の(菅)政権が選んだ」と説明しました。
 当時の総理大臣だった菅直人衆議院議員:「当時、この議論があったことはよく覚えていて、事故直後で事故対応の人が散ってしまう、その問題が心配だった。法的整理は今やっても大丈夫だと思うし、やるべきだと思う」