2016年11月10日木曜日

玄海原発3・4号機、再稼働へ 地元同意課題

 原子力規制委は9日、九電玄海原子力発電所3、4号機の再稼働の前提となる安全審査の合格を内定しました。手続きが順調に進めば来夏に再稼働することになります。
 今後は稼働に事実上必要な地元同意が課題となります
 
 西日本新聞が行った佐賀県民の地元同意に関する意識調査では、51%が反対、37%が賛成でした。
 日経新聞と西日本新聞の記事を紹介します。
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玄海原発3・4号機、再稼働へ地元同意課題  
日経新聞 2016年11月9日
 原子力規制委員会は9日、九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県)の再稼働の前提となる安全審査の合格を内定した。九電にとっては昨年再稼働した川内1、2号機(鹿児島県)に続く2例目。手続きが順調に進めば来夏にも再稼働し抜本的な経営改善につながると期待されている。今後は稼働に事実上必要な地元同意が課題だ。
 
 規制委は同日の定例会合で安全審査の合格証にあたる「審査書案」をまとめた。1カ月間の意見募集後、1月にも正式に合格を決める。再稼働には「工事計画」と呼ぶ書類の確認や現地での設備の検査が必要で、それぞれ数カ月かかる見通し。
 玄海3、4号機は川内1、2号機よりも出力が大きく、収益改善効果は月120億円と川内原発(同100億円)を上回る。九電は川内の経験を生かし、玄海の早期再稼働の実現を急ぐ考えだ。
 
 今後の焦点は地元同意の行方だ。鹿児島県や新潟県と異なり、佐賀県の山口祥義知事は賛成の姿勢を変えていない。同知事は9日、「安心安全を確認できるのであれば再稼働する方向で考えるべきだ」と話した。同意の手続きにあたっては専門家らによる第三者委員会を設ける方針だ。
 ただ玄海原発から30キロ圏内の伊万里市や神埼市の市長は現時点で再稼働に反対している。九電の瓜生道明社長は「工程上、年度内(の再稼働)は厳しい」と話す。
 
 再稼働のめどがたった原発は徐々に増えてきたが、多くの地域で電気代が東京電力福島第1原発事故前に比べ実質的に高止まりしており、簡単に下がる状況ではない。
 九電は玄海原発の再稼働を織り込んでおり、再稼働してもすぐに値下げにはつながらない。関西電力はいったん再稼働した高浜原発(福井県)が司法判断で3月に止まったのを受け、5月からの値下げを取りやめた。
 足元では経済産業省が福島第1原発事故の賠償費用の一部を新電力のユーザーも含めた全国の電気利用者に負担してもらう案を検討中だ。福島事故から5年半たつが、いまも電気代が高止まりする要因になっている。
 
 
反対51人、賛成37人 玄海原発再稼働 佐賀県民100人意識調査
西日本新聞 2016年11月10日
 西日本新聞は6~9日、玄海原発の再稼働の賛否について佐賀県民100人に意識調査した。今後の再稼働の手続きで最大の焦点となる「地元同意」に関して、再稼働反対は「どちらかといえば」を含めると51人で、賛成派の37人を上回った。安倍晋三政権は原子力規制委員会の審査に適合した原発の再稼働を進める方針だが、自民、公明の与党支持者の賛否も割れている。
 
 結果は、賛成13人▽どちらかといえば賛成24人▽反対31人▽どちらかといえば反対20人▽分からない12人。男性は賛成22人、反対28人。女性は賛成15人、反対23人。10~20代は賛成が上回り、50代は同数。他の年代は反対が多かった。
 自民党支持者37人のうち賛成は19人、反対16人。公明党支持者4人のうち1人は反対で、与党支持者にも原発への不安が根強いことをうかがわせた。
 
 反対意見では、佐賀市の田村明さん(62)が「大地震で家屋が倒壊すれば避難できるか不安」と理由を説明した。他は「原発が動かなくても電気は足りていた」(佐賀市の70代女性)「核のごみの最終処分場が決まっていない」(みやき町の70代男性)など。
 賛成意見は、佐賀市の佐藤五雄さん(71)が「雇用増や経済効果を見込める」。「電気代が安くなるし、日本の技術力は信頼できる」(佐賀市の20代会社員女性)「太陽光など代替エネルギーの実用性に疑問」(神埼市の40代運送業男性)などだった。
 
 分からないとの回答では「もっと議論が必要」(鹿島市の40代会社員女性)などの理由があった。