2016年11月18日金曜日

新たに膨らむ廃炉・賠償費は国民負担に

 経産省はこれまで、福島事故をめぐる費用を総額11兆円(廃炉費2兆円+賠償費9兆円と見積っていましたが、それが18兆円(廃炉費6兆円+賠償費12兆円)に膨らむ見込みだということです。これらの費用は、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が一時的に立て替えて、あとで東電と大手電力が利用者から集めた電気代などから返す仕組みです。
 現在、原発事故の対応費は電力会社が集めた電気代から準備しておく仕組みになっていますが、福島事故前まではそうした制度はありませんでした。
 
 そこで経産省は国民は事故対応費を負担せずに過去50年間安い電気を使っていたと考え、こうした「過去分」は国民全体で負担すべきだとしました。こんな時効も何もない話は電力を除けばとても通用しそうもありませんが、こう考えることで新電力を利用する消費者その費用を負担させることができるという訳です。具体的には送電線の使用料に上乗せします。
 
 経産省は16日、この考えに基づく案を有識者の作業部会に提案しました。
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原発利用「過去分」に反発 福島事故賠償の国民負担案
共同通信 2016年11月16日
 経済産業省は16日、有識者による「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会を開いた。東京電力福島第1原発事故の損害賠償費用を工面するため、原発による電気の利用者が事故に備えた保険料として積み立てるはずだった「過去分」と称し、最大50年さかのぼって国民から広く徴収する案を検討した。ただ原発を持たない新電力の反発が強く、議論は曲折もありそうだ。
 
 現在は、大手電力が一般負担金として電気料金から賠償費用の一部を回収。2015年度は総額1630億円で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が、東電が担う特別負担金や交付国債と合わせて費用を拠出する。