多摩市の絵本作家、夢ら丘(むらおか)さんは、自作の絵本の読み聞かせを通じて、福島原発事故の避難者へのいじめの問題を考えてもらおうと活動しています。
都内など各地の学校や保育所を訪れて子どもたちに「助け合って生きることの大切さ」を伝えています。
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絵本で考える原発避難いじめ 多摩市の夢ら丘さん 子どもに読み聞かせ
東京新聞 2017年5月7日
多摩市の絵本作家、夢ら丘(むらおか)実果(みか)さんが、自作の絵本の読み聞かせを通じて、東京電力福島第一原発事故と避難者へのいじめの問題を考えてもらおうと活動している。都内など各地の学校や保育所を訪れ、子どもたちに「助け合って生きることの大切さ」を伝えている。 (栗原淳)
「六年前にあった大きな地震のこと知っている?」。夢ら丘さんは町田市小山ケ丘のもみの木保育園で園児約四十人に語りかけ、自作の絵本「とどけ、みんなの思い」、続いて「カーくんと森のなかまたち」を朗読した。
両作とも孤独や友情などに対する思いを、動物に置き換えて描いた。「とどけ-」は、原発事故で福島を追われた主人公のネコが古里の再生を願う。「カーくん-」は、仲間と比べて取りえがないと悩むホシガラスの「カーくん」が周囲の励ましで自信を取り戻す物語だ。
夢ら丘さんは命の尊さ、支え合うことの大切さを伝える道徳学習の講師として、各地を巡っている。原発事故の避難者が避難先でいじめられる問題が発覚したこともあり、「(両作にある)時宜にかなった言葉が子どもたちの心に響いている」と感じている。「大切な人を失ったり、故郷を追われたりした避難者と、孤独な『カーくん』の姿が重なる。相手の心の痛みを知れば、いじめは起きないはず」と力を込める。
三月初めには、福島県富岡町の避難者を受け入れている同県三春町の小学校を訪れた。「とどけ-」に推薦文を寄せた県出身の俳優西田敏行さんの「三春、そして福島のために皆さんが前進してゆけるよう応援しています」とのメッセージを伝えた。児童から「故郷と命の大切さを感じました」などの感想が寄せられた。
夢ら丘さんは「絵本でも描いているように、世の中のみんなが幸せになるという夢を子どもたちで共有してほしい」と話している。