2017年5月15日月曜日

15- 浜岡原発 全面停止6年 規制委の考え方が分からない

 南海トラフ巨大地震の想定震源域の真上に建っていて世界一危険な原発とも言われている浜岡原発も、他の原発と同様に再稼働を目指して海抜22mの防潮堤を完成させるなど安全対策工事を着々と進めていますが、原子力規制委は今年3になって敷地内に活断層がないかの調査を実施し、活断層の存在を否定する中電の報告に対し「科学的データが不足している」と苦言を呈したということです
 しかしそれ以前の問題として、想定震源域の真上に建っていても、活断層がなく防潮堤(直下型の地震に対しては殆ど無意味?)が立ち、その他の一般的な安全対策工事が終了すれば再稼働が可能なのでしょうか。
 
 今となっては余りにも遅きに失していますが、そもそもこの原発立地が正しかったのか否かの判定を真っ先に下すのが規制委の仕事だったのではないでしょうか。多額の費用を投じて補強したから今更再稼働を止められないというのは本末転倒です。
 もしも浜岡原発で過酷事故が起きれば風向きにも拠りますが首都圏を含む一帯が汚染されることになり、日本の機能が麻痺することになります。  
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浜岡原発、全面停止6年 描けぬ再稼働
中日新聞 2017年5月14日
◆規制委 安全審査さらに時間…
 東日本大震災による東京電力福島第一原発事故を受け、政府の要請で中部電力が浜岡原発(御前崎市)を全面的に運転停止して十四日で六年を迎えた。中電は防潮堤を完成させるなど、再稼働に向け安全対策工事を着々と進めるが、原子力規制委員会の適合性診査はまだ時間がかかるとみられる。静岡県内の自治体にも慎重姿勢が目立ち、再稼働の道筋は依然として見えない。
 福島の事故直後から安全性向上工事を実施してきた中電は昨年三月、工事のシンボルである壁部分の高さが海抜二十二メートルの防潮堤を完成させた。ただ、全体の工事は終わらず、昨年九月完工だった予定を、無期限延期している。
 
 原子力規制委は今年三月、敷地内に活断層がないかの調査を実施。活断層の存在を否定する中電の報告に対し「科学的データが不足している」と苦言を呈した。調査の先にある基準地震動、基準津波の認定にはさらに時間を要する。
 規制委の審査に通ったとしても、県内では再稼働に慎重な自治体が多い。本紙のアンケートでは、原発から半径三十一キロ圏内にある十一市町と県の中に、再稼働に賛成の首長はいなかった
 
 昨年七月、原発から半径三十一キロ圏の緊急防護措置区域にある七市町と県が中電と安全協定を締結した。しかし、注目された再稼働などの事前了解の権限は盛り込まれておらず、どこまで周辺自治体の意向がくみ取られるかは不透明だ。
 静岡県は三月、原発事故に備えた広域避難計画を更新し、これまで具体的に定まっていなかった県外避難先の十二都県三百四十九自治体を公表。今後、原発から半径三十一キロ圏内の十一市町はそれぞれ避難計画を策定する。
 避難については高齢者や障害者の対策、交通手段の確保など課題は山積で、計画の実効性に不安を抱く自治体は多い。三十一キロ圏外の自治体からも、十一市町に留まらず、事故対策の対象範囲を広げてほしいとの声もある。
 
 廃炉などをめぐる三つの訴訟も長期化している。東京高裁、静岡地裁での訴訟では、原告側が「浜岡原発の運転が当面見込めない」と運転差し止めの仮処分申請を取り下げ、本訴に集中する構えを見せている。
 六月には県知事選が控える。出馬を表明している川勝平太知事(68)と、新人でバルセロナ五輪女子柔道銀メダリストの溝口紀子氏(45)はいずれも再稼働への立場を明確にしていない。(小沢慧一)