原子力規制委による審査が終盤を迎えている柏崎刈羽原発の敷地内の断層について、新潟県内の研究グループが、地層の年代の推定が誤っている可能性があるなどとして、審査の見直しを求める要請書を送りました。
今回のNHKニュースだけでは具体的なことがわからないので以下に補足説明をします。
東電はこれまで柏崎刈羽原発の支持層=安田層に含まれる火山灰層「刈羽テフラ」の組成が、青森・下北半島沖で報告されている20万から23万年前の火山灰と似ていることなどを根拠に、安田層の堆積時期を20万年以上前と評価し、規制委も東電の主張を「おおむね妥当」と認めましたが、新潟県内の研究グループは、刈羽テフラは柏崎市藤橋に分布する火山灰「藤橋40」と組成成分が完全に一致していることから、「藤橋40」同様に12~13万年前の火山灰層であると結論づけたものです。
それに対して東電は、「刈羽テフラ」と火山灰「藤橋40」の同一性は認めたものの「藤橋40」はもともと20万年間ずれていないと新たに主張しているというのが現状です。
原子力規制委の新規制基準では13万~12万年前以降にずれた断層は活断層とされています。
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柏崎刈羽原発 敷地内断層の審査見直し要請
NHK NEWS WEB 2017年5月23日
原子力規制委員会による審査が終盤を迎えている新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所の敷地内の断層について、新潟県内の地質学者などでつくる研究グループが、地層の年代の推定が誤っている可能性があるなどとして、規制委員会に審査の見直しを求める要請書を送りました。
柏崎刈羽原発の敷地内にある複数の断層について、原子力規制委員会は去年2月、12万年から13万年前以降に活動した形跡がないことから「活動性はない」とする東京電力の評価を了承し、再稼働の前提となる審査は終盤を迎えています。
この評価の根拠の1つとなっている一部の地層の年代について、新潟県内の地質学者などでつくるグループは独自の調査による分析などをもとに、年代の推定が誤っている可能性があるなどとして、22日、原子力規制委員会に審査の見直しを求める要請書を送りました。
この中で、グループは、東京電力の調査の評価に疑念を残したまま柏崎刈羽原発の審査の判断を示すことは許されないとしています。この問題をめぐって、東京電力は、調査結果に問題はないとし、規制委員会の事務局の原子力規制庁も東京電力の年代の考え方に矛盾はないという見解を示しています。