2022年7月3日日曜日

太陽光発電施設に囲いなし、安全性懸念 京都府南丹市

 太陽光発電施設には国は感電や壊れたパネルとの接触を防ぐため、固定価格買い取り制度の認定を受ける出力20キロワット以上の施設について、柵や塀で立ち入れなくすることを法律で義務づけている。市なども10キロワット以上に対して同様の対策を定めた条例を施行するなどしています
 しかし実際には条例通りに施行されていないケースも多く、京都府南丹市の例では、「細かく現地を把握できているかというと、これから取り組んでいくのが実態」ということです。
 京都新聞が報じました。
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太陽光発電施設に囲いなし、安全性懸念 緊急連絡先標識なしも複数
  京都・南丹
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 京都府南丹市内の太陽光発電施設の一部が、法令で設置を求めている管理者名を記した標識や安全対策の囲いを備えていないことに対し、市議会6月定例会で懸念の声が上がった。市条例では設置を指導できると定めているが、数が多いため施設数の集計さえできておらず、西村良平市長は「スピードを上げて現状把握を行う」と述べた。
  【写真】通行量の多い道路との間に仕切りが全くない太陽光発電施設

 国は太陽光発電施設を整備する際、感電や壊れたパネルとの接触を防ぐため、固定価格買い取り制度(FIT)の認定を受ける出力20キロワット以上の施設について、柵や塀で立ち入れなくすることを法律で義務づけている。市も2020年、出力10キロワット以上を対象に、同様の対策を定めた条例を施行している。
 6月13日の一般質問で、市議が同施設の安全確保についてただし、「条例施行前に完成した施設の中には守っていないケースがある」として市の対応状況を問うた。
 西村市長は、条例の適用範囲は施行後に完成した施設だが、施行前の施設にも市が強制力を持たない「指導」をできると定めているとした上で、「細かく現地を把握できているかというと、これから取り組んでいくのが実態だ」と答弁した。
 市は現在、各区長に状況を照会しており、職員による現地の確認も今後進めると強調。ただ、施設数は膨大で、市外の業者が管理することも多く、市単独での迅速な指導は困難として、西村市長は「府と市町村が協力して対応する形にすべきではないか。関係行政機関に訴えていく」と述べた。

■事故防止や緊急時の連絡が不安視される設備多数か
 南丹市内を巡ってみると、市や国が設置を求めている塀や標識を整備していない太陽光発電施設とあちこちで出くわす。
 美山町の国道沿いにソーラーパネルが立ち並ぶ。敷地は広いが、道路や隣接する民家との間に仕切りはなく、責任者や連絡先を記した標識も見当たらなかった。同町の別の地区には、敷地外周の柵との際までパネルが並び、手で触れることもできる施設もあった。
 同市園部町中心部の住宅地でも、柵は設けているが標識を掲げていない事例が複数見受けられるなど、事故防止や緊急時の連絡が不安視される設備は多数あるとみられる。
 太陽光発電施設は、2012年に国が始めた再生エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)を受け、全国で急増。資源エネルギー庁の統計で、南丹市には今年2月末時点でFITの認定設備が約550カ所ある。FITは出力20キロワット以上に限られるため、市条例の対象となる10キロワット以上の施設は、さらに多い可能性が高い。

 市環境課によると、20年1月の条例施行後は、届け出時に市職員が現地に赴いて条例への適合を確かめているという。だが、施行以前から稼働する無届けの施設が大半で、不適合事例の件数について「確認できていない」とし、状況把握を急ぐ。