2015年10月1日木曜日

原発事故時の避難バスの運転を自衛隊に協力要請

 玄海原発を有する佐賀県は29日、重大事故で放射性物質が放出した際の住民避難時のバス運転について、バス運転手ら一般民間人には支援を求めず、放射線の知識にも詳しい自衛隊などに協力要請する方で、関係機関と調整を進めていることを明らかにしました。
 
 これまでは年間被ばく限度の1ミリシーベルトを超えない範囲で避難車両の運転支援などを要請する方針でしたが、民間人にそうした危険を伴う作業を要求してもなかなか応じてもらえないという問題がありました。
 
 しかし自衛隊員が放射線の知識を習得するのは自分自身の被曝を防ぐためのもので、自衛隊員であれば被曝しても構わないということはありません。また放射線の取り扱いに詳しい人がバスを運転すれば被曝が防げるということでもありません。
 
 そういう点で県の方針は問題の移し替えに過ぎず、バスの運転を自衛隊に依存できるかは不明です。 
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原発重大事故の住民避難、自衛隊に協力要請へ
佐賀県が方針を表明
佐賀新聞 2015年09月30日
 佐賀県は29日、九州電力玄海原発(東松浦郡玄海町)の重大事故で放射性物質が放出し、避難指示が出された地域の住民避難について、バス運転手ら一般民間人には支援を求めず、放射線の知識にも詳しい自衛隊などに協力要請する方針を明らかにした。関係機関と調整を進めている。これまでは一般人の年間被ばく限度の1ミリシーベルトを超えない範囲で避難車両の運転支援などを要請する方針だったが、放射能に対する心理的な負担を考慮し、変更した。
 
 県地域防災計画では、原発から5キロ圏(PAZ)は、放射性物質の放出前に予防的に避難する。5~30キロ圏(UPZ)は、放射性物質の放出後、まずは屋内に避難し、実際の測定値に応じて避難指示が出されることになっている。
 
 住民避難は、自家用車による乗り合わせが基本で、車がない場合、市町や県が用意するバスで避難する。放射性物質の放出前に避難する5キロ圏は、一般民間人を含めて避難への支援を求めるが、実際に放射性物質が放出された後に避難する5~30キロ圏は、自衛隊といった防災関係機関に車両運転などを要請することにした。
 
 県は現在、バス・タクシー協会と避難支援について協議している。原則として避難指示が出された30キロ圏内の地域には入らない方向で調整している。自家用車がない30キロ圏内の住民は自衛隊員らがバスを運転して30キロ圏外まで搬送し、民間の運転者にはその後の避難支援を求める。
 
 高齢者など福祉施設の避難も、当初は避難指示が出た場合に避難を受け入れる施設の関係者が、避難用の寝台車を運転して30キロ圏内の施設に迎えに行く想定だった。現在は放射性物質の放出前に車両だけを届ける態勢になっている。放射性物質の放出後は、30キロ圏内に入らず、指定の場所まで避難車両を運び、30キロ圏内の車両運転は自衛隊などに任せる。
 
 県議会総務常任委員会で宮原真一議員(自民)の質問に、山下宗人消防防災課長が県の考え方などを答えた。