米のピルグリム原発(68万キロワット・1972年に運転を開始)は「コスト面での競争力を失った結果閉鎖に追い込まれたとされていますが、安全面でも失格であったことが明らかにされています。
たとえば海水や地下水を放射能汚染させていたこと、敷地内に大量の使用済み核燃料を貯蔵していたこと、半島の付け根に位置するために事故時の避難が不可能なことなどです。
米では、原発が「安くてクリーンで安全」という神話は70年代半ばに破綻し、「経済的リスクが大きい」ことが顕在化しました。そのため75年以降発注が激減し、74年以後発注物件した物件で完成した原発はゼロという状態で、廃炉も進んでいます。
当然原発の技術者を養成する原子力工学科に学生が入らない状況も長く続いています。
また、原発大国の仏でも原子力大手のアレバ社が経営不振で、2014年まで4期連続の赤字を出して仏政府が救済に乗り出す方針です。
そういう中で日本だけが「安くてクリーンで安全な原発」ということはあり得ないことです。
そのような言説がいまなお平然と行われているのは、ひとえに経産省を含めた原子力ムラによる欺瞞の宣伝に他なりません。
そのような言説がいまなお平然と行われているのは、ひとえに経産省を含めた原子力ムラによる欺瞞の宣伝に他なりません。
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米ピルグリム原発閉鎖 安全・コスト面とも失格
住民などの反対運動強まり
しんぶん赤旗 2015年10月15日(木)
【ワシントン=島田峰隆】閉鎖が決まったピルグリム原発は米マサチューセッツ州の州都ボストンから南へ約70キロの大西洋岸にあります。発電能力は68万キロワットで、1972年に運転を開始。2012年に運転許可が更新され、32年まで運転する予定でした。
米エネルギー大手エンタジー社は今回の閉鎖決定について、「市場の状況やコスト増の結果、閉鎖せざるを得ないと結論付けた」と発表。シェール革命により天然ガス価格が安くなり、ガス発電の増加で電力価格が低迷したことなどを理由に挙げています。
しかし同原発がコストだけでなく、安全面でも失格であることは、周辺住民や環境団体が1980年代から告発していました。
同原発の廃炉を求める「ピルグリム連合」はこれまで、同原発が海水や地下水の放射能汚染、敷地内での大量の使用済み核燃料の貯蔵などの問題を抱えていると批判。半島の付け根に位置するために事故時の避難が不可能なことや、原子炉が炉心溶融事故を起こした福島第1原発と同じ古い型であることも問題にしてきました。
同連合は今月22日にもボストンで廃炉を求める集会を計画しています。これまで署名を集めたり、州知事や議員らに閉鎖を求める立場に立つよう要請する書簡を送ったりしてきました。中心メンバーのトゥルコ氏は「福島第1原発事故の被害や住民の苦しみを目撃し、運動が強まりました。政治家も危険を理解し、廃炉を求めるようになりました」と振り返ります。
同州選出のエドワード・マーキー上院議員は13日の声明で、ピルグリム原発の危険レベルを通常に戻すには試算で1億ドル(約120億円)以上かかると指摘。「原子力エネルギーは安いと宣伝されてきたが、実際には高すぎることが明白になっている。原発が今のエネルギー市場で競争できないことを示す例だ」と強調しました。
同議員は▽原発関連労働者の転職などの支援▽廃炉に必要な費用は会社が負担し住民に押し付けない▽再生可能エネルギーへの転換―を求めています。