東電による福島原発事故に関する損害賠償打ち切りは、計35の農業関連団体に対する賠償にも及びました。
東電はJAグループに対して17日に、26年度の逸失利益を2倍した額を一括して支払い、29年度以降に損害が生じた場合は個別に対応するとした、事実上の打ち切り案を提示していました。
それに対して農業関連団体側は6日、東電や国に賠償の継続を求める要請を行いました。
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農業関連団体の損害賠償、来年度で打ち切り 東電方針
福島民報 2015年10月6日
東京電力福島第一原発事故に伴う県内17JAなど計35の農業関連団体に対する賠償をめぐり、東電は平成28年度限りで営業損害の賠償を事実上打ち切る案を示した。26年度の逸失利益を基準に27、28年度の2年間分を一括して支払う。団体側は賠償案に強く反発、6日に東電や国に賠償継続を求めて緊急要請する。
東電が9月17日に県内JAや県酪農業協同組合、県畜産振興協会など農畜産団体でつくるJAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県協議会に提示した。賠償案では、避難区域内外で農畜産団体に対し、26年度の逸失利益を2倍した額を一括して支払い、29年度以降に損害が生じた場合は個別に対応するとした。
避難区域内の財物の修繕費用については、事故当時の帳簿価格を上限に賠償する方針。一方、県内の農畜産物の生産者に対する賠償は「28年12月まで継続」と従来通りの説明にとどまり、29年1月以降の賠償方針は明らかにされていない。
協議会は東電が示した賠償案に関し、「実態を無視した不当な賠償案」と受け入れを拒否する姿勢だ。協議会によると、避難区域内の多くの農畜産団体は原発事故に伴い大量の職員を解雇。人件費が事故前より激減し、逸失利益が生じていないと判断されてしまう団体もある。
さらに避難区域内の財物は、長期間にわたり使用できない状況が続いた影響で修繕費用が帳簿価格を上回るケースがある。あるJAでは5倍の費用を要しており、新たな損害が賠償されない可能性を指摘している。
この他、今回提示された方針で生産者に対する29年1月以降の賠償について明らかにしていない点について、JA関係者は「先行きが見えず、農家から不安の声が寄せられている」とした。