2015年10月3日土曜日

原発事故 母子のストレス減少下げ止まり=高止まりの傾向 

  福島大災害心理研が事故の直後から毎年行っている調査によると、福島原発事故が福島県内の子どもと保護者に与える心理的ストレスは年々少なくなっているものの、「下げ止まり」の傾向を示し他県のレベルに比べると「高止まり」状態で推移する可能性があることがわかりました。
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母子のストレス減少下げ止まり 
原発事故受け福大心理研5回目の調査
福島民報 2015年10月1日
 東京電力福島第一原発事故が県内の子どもと保護者に与える心理的ストレスは年々少なくなっているものの、下がり幅が小さくなる「下げ止まり」の傾向を示していることが分かった。福島大災害心理研究所の筒井雄二所長(共生システム理工学類教授)が30日、福島市の同大で記者会見し、明らかにした。 
 調査は平成23年6月に開始以降、今回で5回目。1月に福島市やいわき市などの幼稚園児、小学生の子どもを持つ保護者計約4700人から回答を得た。原発事故後の行動の変化や、体の変調など影響の度合いを点数化し集計した。 
 受けたストレスが最大の場合を3ポイント、最小を0ポイントと設定。小学校高学年の子どもを持つ保護者の平均は23年の調査が1.63ポイントで今回は前回(26年1月)と同じく1.36ポイントだった。 
 ただ、他県(1.04ポイント)と比べると依然として高い数値を示しており、筒井氏は「このままの高い状態で推移する可能性がある」と語った。
 
■「外遊びさせない」3.1% 
 母親と子どものストレスの地域間比較の今回の調査結果は【グラフ(1)】の通り。 
 避難地域から県内外に避難している母親と子どものストレスは避難していない県内各地の母子と比べると高くなっている。筒井氏は「避難した人は仕事や住居、学校など生活環境のさまざまな変化が、ストレスになっているのではないか」と分析した。 
 母親の放射線への不安に対する主な質問の回答推移は【グラフ(2)】の通り。子どもに外遊びをさせるかとの問いでは、23年に「させない」は66.7%だったが、27年には3.1%にまで減少した。 
 食品を購入する際に産地を気にするようになったかとの項目では、24年に「非常に気にする」は70.8%あったが、27年は42・3%となった。