原子力規制委の有識者調査団は7日検討会議を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」の原子炉施設直下にある断層について「活断層の可能性は低い」とする報告書案をまとめることで一致しました。
ただしこの会合は、2013年7月に行った現地調査の結果を原子力機構がまとめた分についての審査で、その後に分かったことも多くあるので、有識者会合のメンバーが改めて現地で断層を確認することになりました。
このまま活断層の問題がクリアでき膨大な書類の不備が修正されれば、「もんじゅ」は自動的に再稼動する感じですが、果たしてそんな風に進んで行っていいのでしょうか。
「もんじゅ」は1995年12月、運転後僅か10ヶ月足らずで配管につけた温度計取付座(ノズル)が流体による振動で破損し、そこから液体ナトリウムが漏れ出したのでした。幸いに事故時には装置回りのチッソシールが完全であったためにナトリウムが発火するには至りませんでしたが、ナトリウムは空気と接触すれば発火し、水と接触すれば爆発するので、一旦発火ないし爆発事故に至ればもう手の施しようがありません。
そんな超危険な装置において液体の流動により配管部品が破損するなどということは、絶対にあってはならないことです。もしも振動で破損したのであれば液体ナトリウムの流動特性を十分に把握していないために起きた設計ミスということになります。
振動以外にいわゆる流動腐食(キャビテーション・エロージョン)はなかったのかなど、多面的な観点からの再発防止策が装置の全箇所において取られたのでしょうか。
また加圧型原子炉では蒸気発生器などの細管破損事故がしばしば起きていますが、もしも「もんじゅ」で同じような事故が起きれば、即 ナトリウムと水との接触です。それに対する対策は十分に取られているのでしょうか。
同施設の管理用書類作成のいい加減さを報道で知るにつけても、肝心な装置のハード面が本当に大丈夫なのかとても心配になります。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
もんじゅ:「活断層の可能性低い」規制委調査団
毎日新聞 2015年10月07日
高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)の敷地内断層を調べている原子力規制委員会の有識者調査団は7日、原子炉施設直下にある断層について「活断層の可能性は低い」とする報告書案をまとめることで一致した。
調査団は会合で、原子炉施設直下で確認されている8本の断層のうち、ナトリウム冷却材の交換機がある「原子炉補助建物」の直下を走る断層「a破砕帯」の活動性などについて議論した。
断層周辺の地質や岩石成分のデータなどから、a破砕帯の延長部分では活動性は見られず、施設直下のa破砕帯も「(活断層の定義とされる)12万〜13万年前以降に活動した可能性は低い」との見解で一致した。
もんじゅの西側約500メートルを南北に走る活断層「白木−丹生断層」の影響については見解が一致しなかったため、現地調査のうえで報告書案をまとめることを確認した。
日本原子力研究開発機構が運営するもんじゅは、多数の機器点検漏れが発覚し、規制委から事実上の運転禁止命令が出ている。その後も点検漏れなどの不手際が続き、運転開始の見通しは立っていない。【鳥井真平】