この3月でいわゆる自主避難者に対する住宅費補助が打ち切られます。それに見合う公営住宅への居住という優遇措置も終わりにさせられます。
「年間20mSv以下の被曝なら安全だから帰れ」と言って居住できないところに帰らせようとする非道ぶりは、あたかも中世期の残酷な小説の世界のようです。
しかし、この被曝対応劣等国の日本ではそれが行われようとしています。
当然司法の場で争われることになりますが、絶望の司法でないことを祈るのみです。
田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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原発事故避難者への住宅支援打ち切り 3月までに提訴
田中龍作ジャーナル 2017年1月6日
裁判に訴えて原発事故避難者が都営住宅や国家公務員住宅から追い出されないようにしよう・・・訴訟の準備をする会(※)がきょう発足した。
原発事故を受けて国が避難区域に指定した以外の地域から避難した住民に対する住宅支援が3月一杯で打ち切られるからだ。
福島県生活拠点課によれば打ち切りの対象は1万524世帯(2万6,601人)。
住宅支援の打ち切りは経済的に余裕のない避難者にとっては、福島への帰還を強制するようなものだ。子どもの健康を考えると「はい、分かりました」と言って帰るわけにはいかない。
行政は力づくで追い出しにかかるだろう。司法の場で争うことになる。
訴訟の準備をする会によれば提訴までの流れは次のようになる ―
1)「一時使用許可申請書」を東京都か福島県に出す。都営住宅に住んでいる人は東京都に、国家公務員住宅であれば福島県に提出する。
2)裁判所への提訴は3月前。申請に対する却下処分の取り消しを求める形となる。都営住宅に住んでいる人は東京都を、国家公務員住宅に住んでいる人は福島県を相手取り訴訟を起こすことになる。
行政の側は避難者に対して住宅の明け渡しを求める訴訟を起こすことが予想される。
最高裁まで争われることが必定なので、避難者は1、2審で敗訴したとしても、最高裁の判決が確定するまでは都営住宅や国家公務員住宅などに住み続けることができる。
大口昭彦弁護士は「原発を誘致したのは誰なのか? 住民に責任はあるのか?」と行政の責任を追及した。
そのうえで「(避難者には)居住の権利がある。行政はそれを保証する義務がある」と力を込めた。
福島県川俣町から葛飾区の都営住宅に避難している母親は、高校2年生の息子(事故当時・小学5年生)がいる。甲状腺検査で のう胞 が見つかった。
「(事故から)5年が経って安全だからって、何を根拠に言っているのか分かりません」。母親は声を震わせた。
~終わり~
※ 原発避難者住宅裁判を準備する会