九電玄海原発3、4号機(佐賀県)が18日、原子力規制委の安全審査に合格しました。
新規制基準に合格したのは5原発10基目になります。今後は地元の同意などに焦点が移りますが、30キロ圏内の伊万里市や長崎県壱岐市は再稼働に反対を表明しています。
ただし同原発の使用済み核燃料の保管プールは約5年で満杯になる見通しで、その段階で運転を終了するのでなければ、どう対策を取るのかも注目されます。
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原発「合格」10基に 玄海3・4号機、地元同意が焦点
日経新聞 2017年1月18日
九州電力玄海原子力発電所3、4号機(佐賀県)が18日、再稼働の前提となる原子力規制委員会の安全審査に合格した。東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえた新規制基準に合格したのは5原発10基目。玄海原発の再稼働は今夏以降になる見通しで、今後は地元の同意などに焦点が移る。再稼働後に司法判断で停止した例もあり、順調に進むかは不透明だ。
2013年の新規制基準施行後、安全審査を申請したのは16原発26基。合格した10基はいずれも西日本に多い「加圧水型」だ。一方、福島第1原発と同じ「沸騰水型」はゼロだ。柏崎刈羽原発(新潟県)も再稼働のめどが立たず、巨額の廃炉・賠償費用を捻出する東電の経営再建の足かせとなる。
合格しても順調に再稼働するとは限らない。まずは地元同意だ。佐賀県の山口祥義知事は住民の理解が得られれば再稼働を容認する姿勢だ。18日、世耕弘成経済産業相と電話会談し、県民の安全確保などを国に求めた。立地する佐賀県玄海町は2月にも同意手続きに入る意向だ。一方、30キロ圏内の伊万里市や長崎県壱岐市は再稼働に反対だ。
司法判断が壁になることもある。関西電力高浜3、4号機(福井県)は再稼働直後に運転差し止めの司法判断を受け、昨年3月から停止中だ。玄海原発も訴訟を抱える。
玄海原発は再稼働後も課題は残る。使用済み核燃料を保管するプールが約5年で満杯になる見通し。九電は核燃料の配置を変え保管量を増やす考えだが、規制委の認可を得られない恐れもある。
【報ステ】玄海原発「合格」核燃プール満杯なのに…
テレビ朝日 2017年1月18日
佐賀県の玄海原発3、4号機について、原子力規制委員会は18日、規制基準を満たしているとして「合格」したことを示す審査書を決定した。今後、地元の同意などを得たうえで、秋以降に再稼働する見通しだ。ただ、大事な問題が解決されていない。燃料プールの空きは少なく、再稼働後、4~5年もすれば、いっぱいになってしまう。いっぱいになると原発は動かせない。九州電力はプール内の使用済み核燃料の間隔を詰めることで、保管できる量を増やしたい考えだ。しかし、プール内で核燃料の間隔を狭めれば、十分に冷却できない恐れもある。原子力規制委は“乾式貯蔵施設”の設置を推奨している。乾式貯蔵では、使用済み核燃料を金属容器などに密封して、空気で冷やす。九州電力は、原発の敷地外も含めて乾式貯蔵の検討を始めたが、まだ場所も、時期も決まっていない。