(主張)原発再稼働加速 住民同意なき運転強行するな
しんぶん赤旗 2017年1月16日
全国各地の原発をめぐり、停止中の原発の再稼働を狙う安倍晋三政権や電力業界と、国民・住民との対決が今年も激しくなろうとしています。東京電力福島第1原発の事故から間もなく6年になろうとしているのに、事故原因の究明が尽くされず、事故収束の見通しも立っていません。事故後ほとんどの原発が停止していても電力は足りているのに原発を再稼働させようというのは、事故の反省も生かさないで原発に固執し、住民の安全よりも電力会社の経営を優先するためです。国民・住民の同意のない原発の運転は強行すべきではありません。
玄海原発など相次いで
現在稼働中の原発は、九州電力川内原発(鹿児島県)の1、2号機と四国電力伊方原発(愛媛県)の3号機だけで、川内原発1、2号機は昨年末から順次定期点検を迎えています。安倍政権と電力業界はこれに続いて九州電力玄海原発(佐賀県)の3、4号機や関西電力大飯原発(福井県)の3、4号機についても規制委の審査を終え、再稼働を狙っています。
川内原発や伊方原発に前後して原子力規制委の審査に「適合」となりながら、裁判所の判断で運転が停止したままになっている関西電力高浜原発(福井県)の3、4号機についても、裁判所の判断を変えさせるなどで、再稼働させようとしています。裁判所の判断は規制委の審査が不十分だと認めたものであり、それさえ無視して再稼働を強行するのは問題です。
現在の原子炉についての法律では原発の運転は40年が原則で、40年を超えた原発の運転を延長するのは「例外」だと政府は説明してきましたが、原子力規制委は昨年、関西電力高浜原発(福井県)の1、2号機と同美浜原発(同)の3号機について審査に「適合」すると認めました。実際に再稼働するのは数年先になる見込みですが、法律で決まった「40年廃炉」の原則さえほごでは、規制委の審査はますます信用できなくなります。
東京電力福島第1原発の事故後改定された規制委の審査基準は、地震や津波の規模を見直しただけです。審査に「適合」すると認められたからといって、安全というわけではありません。事故が起きた場合の対策も間に合わせで、肝心の住民の避難体制は規制委の審査の対象外です。政府や自治体任せの避難体制は、再稼働した川内原発や伊方原発の訓練でも不備が明らかになっています。
再稼働する場合の同意も県と原発が立地する自治体だけなので、周辺の自治体から異論が相次いでいます。近く再稼働が狙われている玄海原発の場合も、同意が求められているのが佐賀県と玄海町だけのため、周辺の伊万里市や神埼市、唐津市などから反対の声が上がっています。事故が起きれば被害が予想される自治体にさえ同意を求めないのは重大欠陥です。
柏崎刈羽原発にも固執
安倍政権と東京電力は、事故を起こした福島第1原発と同じ型の柏崎刈羽原発(新潟県)の6、7号機まで再稼働させようとしています。県民の再稼働反対の声におされて就任した米山隆一知事が、5日の東電首脳との会談でも再稼働に同意できないことを表明したのは当然です。原発再稼働を許さないことは、住民の命と暮らしを守るうえでの正念場です。