全町避難している浪江町の住民1万6000人弱が慰謝料の増額を求めた和解仲介手続き(ADR)で、75歳以上の1人の和解が成立する見通しとなったことを受け、馬場有町長は18日、「引き続き全員の和解を目指す」と語りました。
注意すべきは現在月々支払われている10万円は『慰謝料』と位置づけられているので、例えば避難指示解除によってこの支払いが止められれば、東電乃至国からの慰謝料の支払いはその時点で全部終了するという点です。
「<全町避難> 浪江町3月31日解除 国が提示」の記事も併せて紹介します。
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<原発ADR> 浪江町長「全員和解目指す」
河北新報 2017年1月20日
東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県浪江町の住民1万5788人が慰謝料の増額を求めた和解仲介手続き(ADR)で、75歳以上の1人の和解が成立する見通しとなったことを受け、馬場有町長は18日、「引き続き全員の和解を目指す」と語った。
馬場町長は取材に「1人だけの和解は不本意だが、これを契機に事態を打開したい」と強調。一方で「個人的には町民の強い要望があれば訴訟も視野に入ると思っている」とも述べた。
原子力損害賠償紛争解決センターが示した和解案は、1人月10万円の慰謝料に一律5万円、75歳以上にはさらに3万円増額する内容。センターは被害を訴える陳述書を提出した150人のうち、75歳以上の13人との和解を優先するよう東電に求めていた。
同日、記者会見した支援弁護団事務局長の浜野泰嘉弁護士は「和解案通りの金額を東電がのんだことを重視した」と説明した。
<全町避難>浪江町3月31日解除 国が提示
河北新報 2017年1月20日
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県浪江町の避難指示について、政府の原子力災害現地対策本部は18日、帰還困難区域を除いて3月31日に解除したい考えを示した。町の帰還目標に沿う提案で、国と町は今後の住民懇談会を踏まえ、解除日を最終決定する。
日程は二本松市であった町議会全員協議会で示された。居住制限区域、避難指示解除準備区域の5842世帯1万5356人(昨年12月末時点)が対象で、これまでに解除された自治体で最も多く、町人口の8割に上る。
国の担当者は除染の進展に加え、3月に予定される診療所開所、4月のデイサービス再開やデマンドタクシーの運行開始などを挙げて説明。対策本部の後藤収副本部長は「生活再開のための環境は整っており、町の復興を新たな段階に進めたい」と語った。
議員からは「避難指示解除が風評払拭(ふっしょく)につながる」と評価する声の一方、「放射線量に対する不安が解消されていない場所が残る」と反対する意見も出た。
馬場有町長は協議会で「懇談会で町民の意見をよく聞いて判断したい」と述べた。二本松市から町内への役場機能復帰予定が4月1日で解除後になることに関しては、協議会後に「前もって準備を進める。私自身も2月には自宅を町内に新築し、より頻繁に行き来する」と説明し、影響はないとの認識を示した。
3月31日の解除方針は行政区長会でも説明され、参加者は除染の徹底などを求めた。終了後、区長の一人は「JR浪江駅や郵便局の再開などのためにも解除を進めてほしい」と話した。
住民懇談会は26日の町内を皮切りに県内外10カ所で開催する。昨年11月から続く準備宿泊には今月16日時点で263世帯649人が登録している。
帰還困難区域を除く福島県内の避難指示解除日を巡っては、飯舘村と川俣町山木屋地区が3月31日で決定。富岡町は4月1日が提案されている。