東電は、「柏崎刈羽原発が動けば年間の収支が1000億円改善するので、できれば2年後くらいに再稼働させたい」としているということです。東電はこの先もずっと原発事故の処理費用として年間4000~5000億円を払い続ける必要があるので、一層再稼働が必要になるといいます。しかしその論理はもう聞き飽きました。
すでに完成して燃料も購入済みの原発を、ただ休ませておくのに比べれば稼働させた方が1000億円増収になるというこですが、それは廃炉費用は申し訳程度に見積もり、事故が起きた場合には国の税金と電気量のアップで賄うという前提で殆ど見込まないとしてそろばんをはじけばそうなるという意味に過ぎません。
再稼働すれば利益が上がるからというのが電力会社の考え方です。しかしそんなそろばん勘定だけで再稼働されてはたまりません。
柏崎刈羽原発が豆腐状の地盤の上に建てられているという指摘はずっと以前にされていたにも拘わらず、昨年の後半になってやっと3号機辺りの地盤が地震時に流動化することを認めました。
しかし流動化は本当にそこに留まるのでしょうか。仮に他の個所は未確認としても、そんな地盤で構造物の安全は保たれるのでしょうか。
それに原発の核燃料は2020年代から次第に品不足になって急激に値上がりすると予想されています※。
そうなればますます採算性は悪化するので、原発は文字通り無用の長物となります。そんな取り柄のない原発を、刹那的な利益を目指して危険を冒してまで動かす必要は皆無です。
国民の負担を軽減したいというのであれば東電という会社を整理するべきでしょう。
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柏崎刈羽原発の再稼働、「最短2年後」を想定
東電が再建計画に盛り込みを検討
産経新聞 2017年1月14日
東京電力ホールディングスが平成28年度内に改定する再建計画「新総合特別事業計画(新総特)」で、柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働時期を最短で2年後と想定して収支見通しを示す方向で検討していることが13日、分かった。東電は、再稼働で見込める財務体質の大幅な改善を明示し、取引先金融機関などに再建の道筋を説明したい考え。合わせて、再稼働に慎重な姿勢をみせる米山隆一同県知事に対し、翻意するように働きかけていく。
東電は25年9月、柏崎刈羽6、7号機の新規制基準に基づく適合審査を原子力規制委員会に申請した。
東電によると「重大事故への対処」や「地震・津波への対応」に沿った39項目の審査項目のうち36項目は審査が済んでおり、耐震設計や耐津波設計など3項目を残すのみとなっている。審査の進行状況から、2年後ぐらいには再稼働に向けた手続きが終わると仮定して試算する。
ただ、米山知事は福島第1原発事故の原因などの検証には「3~4年かかる」と表明、自身の任期中に再稼働を容認するかは不透明だ。米山知事の発言も踏まえて、再稼働に2年以上かかることを想定した別の試算も併せて示す。一方、東電が月内にも公表予定の新総特の骨子案には再稼働時期を盛り込まない方針だ。
経済産業省の有識者委員会は昨年末、福島第1原発事故の対応費用総額が22兆円に上るとする試算を公表した。東電はそのうち廃炉や賠償費用など16兆円を支払う。
経産省の試算では、柏崎刈羽の再稼働で年間1千億円の収支改善効果を見込んでおり、年間4千億~5千億円程度を事故対応費用として払い続ける東電にとっては、柏崎刈羽の早期再稼働が再建策の柱になるとされている。
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新総合特別事業計画 福島第1原発(1F)事故で経営危機に陥り、国の管理下に置かれた東京電力の再建計画。政府が平成26年に認定した。経済産業省の有識者委員会「東電改革・1F問題委員会」の提言を受け、内容を大幅に見直す。