2017年1月7日土曜日

07- 川内原発の危険性 日刊SPA!が指摘

 フランスの原発で鋼中の炭素濃度が過剰な日本鋳鍛鋼製の原子炉(=圧力容器)が使われていることが判明し、フランスはその情報を日本に流すとともに、強度不足の危険性があるということで12基の原発を運転中止にしました。
 しかし日本では同じ製品を使っているにもかかわらず、原子力規制委は、製造時の成分データから強度不足の惧れはないとして、実装置(特に圧力容器蓋板部など)を点検したり成分分析をするなどは一切行いませんでした。
 こんな風にフランスの対応とあまりにも違っているのは、「再稼働ありき」で進んでいる規制委がそれを阻害する余計な事には関わりたくないと考えているからだという風に受け取れます
 
 日刊SPA! が、川内原発には火砕流に襲われる惧れがあると共に、この鋳鍛鋼の強度の問題を引き続き取り上げているので紹介します。
 なお文中の「どうせ破局的噴火が起きたら鹿児島は終わり」と言ったのは規制委の田中委員長ですが、それだから動かしてもいいという考え方は根本的に間違っています。
 
  (関係記事)
     2016年12月21日 日本の原発17基の鋳鍛鋼圧力容器 「重大欠陥部品」疑惑
     2016年11月24日 原子力規制委 原子炉強度問題で検査方法の見直しを検討 
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原発の重大欠陥疑惑がありつつも、再稼働容認に転じた三反園・鹿児島県知事
日刊SPA! 2017年1月6日
 フランスの原発で、日本製の欠陥部品が使われていることが判明。フランスでは大問題になっている。しかし日本ではほとんど話題になっていない。そこで専門家を直撃、この問題がどれだけヤバいのかをリポートする!
 
再稼働容認に転じた三反園・鹿児島県知事は回答拒否!!
「川内原発の一時停止」を公約にかかげ、今年7月の県知事選で勝利した三反園訓知事。だが、12月8日の川内原発1号機の再稼働は「私に再稼働するしないの権限はない」(今月1日、鹿児島県議会)と事実上容認。「公約違反」との批判が高まっている。
 
 フランスの原発12基停止の原因となった日本鋳鍛鋼の鋼材は、川内原発1号機、2号機にも使用されている。三反園知事は、鋼材の強度不足問題を考慮しなかったのだろうか? 鹿児島県知事室に問い合わせたところ、「(県の)原子力安全対策課と話してください」と丸投げで回答を拒否。原子力安全対策課に鋼材の強度不足問題について聞いたが「本件は原子力規制委員会が問題ないとしている。県としても今後の規制委での議論の推移を見守りたい」とのこと。
 
 また、本件について三反園知事は知っているのかと聞くと「報告はしています」と言うが具体的な回答はなし。原子力安全対策課には環境NGO「グリーンピース・ドイツ」で原発問題を担当する専門家ショーン・バーニー氏がこの11月に訪問し、独自の検証を求めたが、「鹿児島県には原子力規制委のような専門家がいない」として、主体的な調査や対応は行っていないのが現状だ。
だ。
 
破局的噴火が起きたら…
 川内原発は国内でも最も火山活動が活発な一帯にある。破局的噴火が起きたら、瞬時に原発は破壊され、溶岩にまみれた現場での収束作業は不可能だ。だが、鹿児島県・原子力安全対策課は「火山活動をモニタリングしている」と九州電力の言い分をそのままオウム返しにするだけ。火山の専門家たちが噴火の予測は難しいと指摘していることを指摘したが、「どうせ破局的噴火が起きたら鹿児島は終わり」と投げやりな態度。川内原発が破壊され大量の放射性物質が放出されたら、西から東に吹く偏西風に乗って、日本全国を汚染していくことになる。
 
 原発事故時の周辺住民の避難も各自治体任せで、その不備を自ら訴える自治体もある。事故時の収束作業の砦である重要免震棟も九電は設置を撤回した。三反園知事が就任する以前と、課題への対応策はほとんど変わらないうえ、新たに鋼材強度の問題が出てきたのに、今回の「事実上の容認」。脱原発を訴え続けている小出裕章・元京都大学原子炉実験所助教は「まったく情けない」と憤る。
「規制委も九電も本気で川内原発のリスクと向き合っていない。ですから、せめて県民の命を預かる知事が原発の安全対策について主導的な役割をしていくべきです」
 
 【小出裕章】
元京都大学原子炉実験所助教。福島第一原発事故以前から原発の危険性を訴え続けてきた。『原発のウソ』(扶桑社)など著書・共著多数
 
取材・文/志葉 玲 写真/産経新聞社 時事通信社 Greenpeace
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