福島第一原発に近い広野町で、原発事故後も入院患者とともに病院にとどまって地域で唯一の病院として診療を続けていた高野病院は、12月30日夜、院長の高野英男氏(81)が自宅の火事で亡くなってからは、常勤医不在の状態で診療を続けていました。
その後福島県の協力も得て3月までは常勤医が確保できましたが、4月以降は目途が立たず、頼みの福島県からも民間病院なので医師の手配などの特別扱いは出来ないと言われました。
そういう中で現理事長は、県に病院を無償提供し、その後は県立または公設民営などの形態で病院を継続させたいと考えています。
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<高野病院>理事長 県へ無償提供の意向
河北新報 2017年1月25日
東京電力福島第1原発が立地する福島県双葉郡で唯一、入院医療を続ける高野病院(福島県広野町)の管理者と常勤医が不在となっている問題で、運営法人の高野己保理事長(49)は24日、河北新報の取材に対し「(病院施設を)県に無償提供したい」と述べ、診療継続と病院存続に向け、県などと協議したい意向を示した。高野氏は昨年末に自宅の火災で死亡した高野英男院長=当時(81)=の次女。(聞き手は福島総局・高橋一樹)
-2~3月は常勤医赴任が決まったが、4月以降は未定だ。病院経営の方針は。
「同じ場所で診療を継続させたい。そのためには県など公的機関に病院を無償提供したいと考えている。県立となるほか、公設民営の形も考えられるが、病院が続くのであれば、自身の経営権にはこだわらない」
-無償提供を考える理由は。
「原発事故後、双葉郡で唯一の病院を高野院長が一人で支えてきた。県には人的支援を再三要請したが、『民間病院で特別扱いできない』と断られてきた」
「民間だからといって『管理者が見つからなければそれまで』とはいかない。診療、経営、当直と一人何役もこなし、院長が身を削って6年間つないだ地域医療と、患者、スタッフを守らなければならない。院長の死が無駄になる」
-県は4月以降、県立医大と連携して常勤医を派遣する方針を示している。
「医師が確保できても、管理者は再び無理のある経営を強いられる。管理者がいなくなれば、また行き詰まる。民間が地域医療を担う仕組みを変えるべきだ」
-今後の進め方は。
「県などと続けている次の緊急会議で、無償提供の意向を正式に表明し、検討の土俵に上げたい」