新中川(江戸川区)の下流域で捕獲した全長約70cmのコイを、すり身にして放射能測定所のNAI(TI)シンチレーション検出器で測定したところ、50Bq/kgセシウムを検出したということです。
身を乾燥させれば水分が除去されてセシウムが濃縮されるためさらに高い数値になる筈です。
また、千葉県の銚子・九十九里沖で採れるスズキの放射能汚染は昨年1月からのデータは不検出かせいぜい1Bq/kg程度でしたが、昨年12月から今年1月にかけてはセシウム値が急激に上がり、今年1月12日に採取したものでは69Bq/kgを計測していました。
(関係記事)
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セシウム値が急激に上昇?
東京湾のコイも福島原発沖のヒラメ以上に汚染されていた!
週プレNEWS 2017年1月23日
島第一原発の事故で放出された放射性物質は、依然として首都圏に滞留しているのだろうか。
それを知るために本誌は2016年秋、新中川の下流域で全長70㎝ほどのコイを捕獲して調査した。
■新中川のコイから、50Bq/kgのセシウムが…
旧江戸川と通じる新中川(江戸川区)の下流域で捕獲した全長約70cmのコイを、すり身にして放射能測定所のNAI(TI)シンチレーション検出器で測定したところ、50Bq/kgのセシウムを検出した。身を乾燥させれば水分が除去されてセシウムが濃縮されるため、さらに高い数値が出たはずだ。
単純比較はできないが、取材班が同じ時期に福島原発沖3㎞で釣り上げたヒラメから検出されたセシウムは2・1Bq/kgだったというのに…。
食品のセシウムの基準値は100Bq/kgだが、乳児用食品などは50Bq/kgとなっている。また、茨城県のように50Bq/kgを超えた魚介類は出荷を自粛する自治体もあるなかで、首都圏の魚からこの数値が検出されたことに取材班は驚きを隠せなかった。
放射線や水文学に詳しい長崎大学大学院の小川進教授によれば、「これまでの知見から、魚類では放射性物質の生態濃縮が100倍から1万倍の規模で起こることがわかっていて、大型で魚の生態系の上位に位置する魚は特にそれが顕著に現れる」のだという。
調査したコイは海水と淡水が混在する汽水域に生息していた。潮の満ち引きで流れが変わるこうした区域では放射性物質が海洋に流出せず、滞留しやすいことも関係していると推測できる。
■この年末年始にセシウム値が急上昇
コイではないが、汽水域に生息する魚で、成長すれば1mにもなる大型魚のスズキで気になることがある。
千葉県の銚子・九十九里沖で昨年12月から今年1月にかけて、県が調査したスズキのセシウム値が急激に上がっているのだ。さかのぼって昨年1月からのデータを見ると、不検出かせいぜい1Bq/kg程度だったのが、なぜか年末年始にかけて上昇を続け、今年1月12日に採取したものでは69Bq/kgを計測していた。
スズキは河川と外洋を回遊する魚。汚染の高い汽水域で被曝したのだろうか? 千葉県水産局漁業資源課の担当者も首をかしげる。
「スズキは以前からセシウムの値が出やすいので注意はしていました。他県ですが汽水域のクロダイで高い値が出る傾向があったので、同様に川で被曝している可能性はあります。ですが、汚染値が上がっているはっきりした原因はわかりません」
しかし、湖や沼も含めれば100Bq/kgを超える魚は何種類も検出されている。首都圏だけでも千葉・手賀沼のコイ、ギンブナ、モツゴ、利根川のウナギなどには依然として出荷規制がかかっているのが現状だ。
■モニタリングの継続が必要だ!
こうした放射能汚染と向き合いながら生活していくには、どうすればいいのだろうか。
沖縄琉球大学の古川雅英教授(物質地球科学)が言う。
「健康リスクを真剣に心配するほどの汚染値ではないが、それでも汚染された食品を食べすぎれば過剰な被曝をしてしまうのは事実です。それに50Bq/kgという通常ならありえない汚染値が魚から出たということは、さらに高濃度に汚染された魚がまだどこかにいるかもしれないということ。国や自治体はモニタリングを継続することが大切になるでしょう」
さらに取材班は、東京湾内と東京湾に流れる河川の合計24地点で放射能汚染を調査。その結果、なんと1000Bq/kgを越えるスポットが2地点もあったのだ!
※異常な濃度のセシウムが検出された2地点とは? なぜこのような事態になっているのか? 詳しくは発売中の週刊プレイボーイ6号「これが東京湾放射能汚染の実態だ!!」でお読みください。
(取材・文・撮影/桐島 瞬 取材協力/有賀 訓 伊藤周吾)
※取材班が捕獲した魚について、発売中の『週刊プレイボーイ』の同記事ではスズキとしていますが、コイの間違いでした。記事の趣旨が変わるものではありませんが、お詫びして訂正します。